その2 [ 2/14 ]

アタックしましょう。



昨日の出来事があり、早速今日から蓮ニ君に猛アタックを開始しようと作戦を練りながら教室までたどり着いた私は早速噂の彼を発見した。なんだか真田君と話しているみたいだけど気にしない。バタバタと足音を立てて愛しの蓮二君の元に駆けて行き、後ろから抱き付いた。と言うよりタックルをしたと言った方が正しいかも知れない。


「蓮二くーん!!」
「っ、おい名無しっ!!」
「あはは、なぁに?」
「朝からタックルしないでくれないか。加えて今は弦一郎と話し中だ」


…ごめんよ蓮ニ君。と呟きギュッと抱き付くと、彼の溜め息が上から聞こえた。それから、話の続きをしているのかまるで私なんか居ないかのように真田君と会話をしている。
ちょっと、蓮ニ君。私が朝から抱き付いてるのにそれだけ?もっと照れてくれても良いんじゃないの!?見てよ、真田君の顔。どう反応して良いのか分からないと言った風に目を泳がしているじゃない。そういう反応が正しいと思うよ、蓮ニ君。


「弦一郎、こいつは空気だと思え。気にするな」
「え!?酷くないですか、蓮ニ君?」
「……た、確かに目のやり場には困るが、人を空気と思うなど、その様な事は出来ん」


うわぁ、真田君、良い人!と声を上げたら真田君は少しだけ頬を染めそんな事は無い。と謙遜していた。謙遜しなくて良いよ、真田君。君は良い人だ!
そう褒めちぎっていたら、蓮ニ君に頭を叩かれた。なんだって言うのさ、蓮ニ君。焼き餅かい?大丈夫だよ、私、蓮ニ君しか男の子として意識してないから。


「嬉しくないし聞いてない。そうではない。弦一郎が困っているだろう、その辺にしておけ。話が進まない」
「あ、ごめんなさい」
「い、いや…有り難く取っておこう。ありがとう」


蓮ニ君に怒られた私は真田君に謝っておいた。真田君はご丁寧にフォローしてくれた。ヤバい、真田君の優しさが暖かすぎて泣きそう。蓮ニ君は最近なんか私に冷たい気がする。やっぱり嫌われてるのかな…。まぁ、だからと言って諦めませんが。


「諦めてくれないか?」
「だから嫌ですってば」


真田君との話が終わったのが、真田君は自分のクラスへと戻って行ったみたいだ。私の小言にツッコミを入れてきた蓮ニ君に内心嬉しく思いながら、蓮ニ君の言葉を拒否した。


「それより、いつまで抱き付いてるつもりだ?」
「私はずっとこのままでも構わないですが」
「言い方が悪かったな。いい加減、離れろ」
「後半の方が言い方悪いですよ」


と、ツッコミを入れると同時にチャイムが鳴った。パッと手を離し私は蓮ニ君にまた後で!と手を振り自分の教室へと戻って行く。残念ながら私と蓮ニ君のクラスは別々となってしまった。人生なかなか上手く行かないものだ。
あいさつをした私に蓮ニ君は全く返事を返してくれなかったけど蓮ニ君は優しいから、きっと私の言葉を聞いてくれているはず。ていうか、私蓮ニ君におはよう、って言うの忘れていた。失敗した。

そんな後悔をしつつ、教室へと足を踏み入れると隣の席の丸井君が私を見て遅刻だぜぃ?とか言ってきたのでとりあえず鞄で軽く叩いておいた。君には分からないよ。遅刻してでも会っていたいって気持ちが。


「そんなに柳が好きなのかよ?」
「うん。大好き、愛してる」
「多分柳はお前の事全然好きじゃないと思うぜぃ?」
「………分かってるよ」


言われなくても分かってます。だからこれから変えるんだってば。嫌いを好きに。あと二週間もあるんだから、大丈夫。

お前それマジで言ってんの?と引き気味で話してきた丸井君に無言で頷いてみせる。


「なんつーか、キモイな。お前」
「……もっと良い言い方あるだろう、丸井君」


柳…可哀相と言って本当に気の毒そうな顔をするもんだからなんだか凄く悲しくなってきた。私そんな嫌われてるのかな。自信無くなってきた。まぁ最初から自信なんて無いけど。やるからにはちゃんとやらないと。だって、泣いても笑ってもコレが最後なんだから。



頑張ろう!私!



(苗字さん、五月蠅いですよー)
(あ、すみません)


top


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -