跡部拍手1




跡部君は本当にわたしのことを好きなんでしょうか。


「その質問、本人にしてやったらどうや」
「言える訳ねーだろ、忍足のばーか」
「アホはまだええ。が、馬鹿は許せん。撤回しろや」
「いたいいたい!すんまそん!」
「分かればええねん」


ぎゅーっと頬を抓られあまりの痛さに思わず撤回してしまった。くっそ死ね侑士!


「だってさー。聞いてよ忍足君。」
「なんやねん」
「だからさあ、跡部君の事。」
「どうでもええけど、君づけ止めろ気色悪ーて敵わんわ」
「死ね」
「死ねなんて言葉簡単に口にしたらあかんで。」


こっちは真面目に相談しようと思ってんのになんなんだよもう。聞いてよ忍足。


「はいはい、聞けばええんやろ。なんやねん。」
「だから、景吾がね、そのー…」
「おん」
「もうすぐ一カ月なんですけど」
「おん」
「まだ手も握って無いってどー思う?」


打ち明けた言葉と共に鎮まる空間。ぽかんとアホみたいな顔してる忍足。おーい、きいてる?


「…ホンマに?」
「ええ。」
「嘘とかとちゃうん?」
「ちゃいます」
「……」


ちょ、なんか言ってよ忍足。聞いてんの?何?しんだの?
まるで魂が抜けてしまったかのような忍足に焦る私。別に忍足が心配な訳ではない。先ほど話した内容がそれほどまでに強烈な内容だったのであろうかと焦ってしまった。そんなに意外か。


「意外なんてもんとちゃうで、信じられんわ」
「…だってほんとの事だもん」
「…なんかもう、乙」
「むっかつく…」


忍足の小馬鹿にしたような鼻笑いに舌打ちをしてからぼそりと文句を言ってやれば頭をはたかれた。


「聞こえとんねん、アホ」
「うわあー、アホにアホって言われた、おしまいだ。」
「自分ムカつくわ…」
「お前もな。」


そう言えば、向い側に座っていた忍足がいきなり立ち上がり、私の横に立って見下ろしてきた。なんだと言うのだ。


「…自分ホンマなんであんな奴と付きおうてんのや」
「そんなの私が知りたいよ」
「もう別れてしまえ」
「ヤダ」
「即答て」


だって好きなんだもん。景吾のこと、大好きなんだもん。別に手なんか繋がなくっても
別にいいし。平気だし。


「嘘付けー」
「嘘じゃないやい」
「泣いてるやん」
「泣いてないやい」
「…やって、跡部君。どないすんのー?」


え、景吾?
うつ伏せになって拗ねた子供のようになっていると、忍足の口から衝撃発言が飛び出した。嘘だと思いつつ身体は反応してしまい、バッと顔を上げて前を確認すればそこには景吾が座っていた。嘘、何やってんの景吾。


「お前が何やってんだ」
「私はアレだよ、忍足と暇つぶし。」
「俺様の愚痴を話のネタにするなんざいい度胸してんじゃねーの」
「えーと…、すんまそん」


助けを求めるかのごとく忍足に目をやるとそこには空間が広がっていた。まじか忍足よ。あいつさっさと帰りやがった。もう本当死んでしまえ。


「なにあいつの事気にしてんだ」
「べ、別に気しにしてなんか無いです」
「なんで敬語何だよ、やっぱ気にしてんじゃねーか」
「…すんまそん」
「今は俺といるんだから俺の事だけ考えてりゃいいんだよ」


…何それどこのホストの台詞ー?
普通ならぞわーっとする台詞に寒気を感じるどころかむしろ顔が熱くなってきてる私って何なんだろう。と笑いそうになりながらも彼の話に耳を傾けていると。手を引かれて机越しに彼に抱きしめられた。おおい。なんだこの展開。


とか言いつつ本当は嬉しいんです


(離すつもりとか、無いからな)
(…離れるつもりも無いよ)




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