我儘系男子。



しんと静まり返っている放課後の教室に一人残っている私は彼氏であるテニス部の男子を待っていた。なんでも今大事な時期なんだそうで、彼女をほっぽって部活動に専念している訳だ。中学の時からテニス漬けで部活が命みたいな奴だったし仕方ないかなって思う所もある。

けど中学とは違って、私達高校生な訳じゃない?彼は私と遊びたいとかそういう事、思わないのかな。ひとりになると感じてしまう気持ち。余り女々しく寂しいだの一緒にいてだの言うつもりは無い。重い女と思われるのも嫌。でも寂しいのも嫌だった。重い溜め息を吐きだして机の上に座る。行儀悪いって怒られそうだなぁ、なんて思いつつも机に腰かけて待っていた。

しばらくたった後、ガラガラと音を立て開いた教室の扉。練習後だからだろうか、汗をかいた彼がやって来て静かに呟く。


「…行くよ」
「なんだ、教室まで来ないでも連絡してくれればコートまで行ったのに。」
「はぁ?折角迎えに来たのに今更何だよ…こっちは部活で疲れてんのにさぁ…もう良いや、早く帰ろう。だるい。」
「深司はそればっかだなぁ」
「自分で言うのもなんだけど、今に始まった事じゃないだろ。ていうか、あんたは色々気にし過ぎだよ。」
「えー深司には言われたくないよ」


机から降りて教室を出ようとすると、急に深司に腕を引っ張られる。何事かと思い振り向くとそのままキスされる。久々なもんだから異常なまでに心拍数が上がる。今死ぬなら心臓発作かも。やっとの思いで空気を肺に取り込む。一呼吸置いた所で彼に反論の声を上げる。


「何すんの、深司!」
「神尾」


はぁ?と思わず言いそうになるが深司の目線の先には顔を赤くした神尾君の姿が。悪い!と何が悪いのか、寧ろこっちの方が悪いような気がしなくもないんだけど、神尾君はそう叫んで教室を飛び出していった。深司を見上げ睨みつけると今度は瞼に落とされる。なんでこんな急に甘い雰囲気になってるの。嬉しいけど意味分かんない。


「深司?」
「…黙ってくんない?」
「あ、そう」
「うん、そう。」


相変わらず会話になってんだかなって無いんだか微妙な境目だなぁ。マイペースなのも今に始まった事じゃないけど。まぁいいか。無言で抱きしめてくる深司を取り合えず抱きしめ返しておく。彼の小さい好きという言葉に顔がニヤケそうになるのを必死に抑える。


いつでも彼のペース。


(何で神尾君が来たらちゅーしたの)
(からかいたくなっただけだけど?)
(…そう。)


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2011/11/11 何気に伊武君書くの初めてだったり。




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