形勢逆転?



「はろー天才くん」
「その呼び方止め言うたやろ」
「はははそうだったっけ?」


とぼけたフリをする私にあきれている彼。毎日のように繰り返されるこの会話はもはや挨拶の様なものだ。私が忍足をいじって遊ぶ。忍足が反応して怒る。の繰り返し。今日も例外なく私は忍足をいじる。


「いやぁ、見たよ今朝」
「何や」
「忍足くんが告白されてるとこー」
「……悪趣味……」


なんとでも言え。ていうか、校門の前で告白なんてしてるからでしょ。相手の女の子はどういう神経してるんだろうか。恥ずかしくないのかな?それともフラれない絶対の自信があったのだろうか。どちらにせよ相手の迷惑に違いは無い訳で。もう少しよく考えて行動すれば良いのに、と思ってしまう。


「まぁ、必死やったんやろ」
「優しいねー」
「まぁな」
「という訳で卵焼き頂きます!!」


あぁ!!と忍足の悲痛な叫び声が教室内に響く。みんなが何事かとこちらを見るけど、いつもの喧嘩が始まった程度にしか思われていないのか直ぐに自分たちの会話に戻ってゆく。


「優しい忍足くんは怒らないよね?」
「自分……あぁもうええわ」
「そ?じゃあもう一つ…」


そう言って彼の美味しそうなお弁当に向かって箸を伸ばした。おかずを掴む前に忍足くんの手が私の手を掴む。何事かと思い顔を上げればそこにはなにやらニヤリと怪しげに笑う忍足くんの姿が。


「忍足くん?ってちょ、ちょっと!?」


彼は無言で近付いて来たかと思ったらそのまま耳を食われた。勢いよく彼を突き放す。その動きのせいで机の上のお弁当が危うく落ちるところだった。


「ちょ…えぇ!!」
「ふーん、こーゆーの弱いねんな、自分」
「ちちちちが…っ!!」
「真っ赤な顔して否定しても効果無いで」


あああもう私らしくなくて


(次の日からは立場が逆転してしまった)


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お題、はちみつトースト様より。


2011/11/10 祝う需要シリーズ←




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