こんな貴方は誰も知らない



佐伯虎次郎といえば。
優しく無駄に爽やかなイケメン。と言うのが一般的だと思う。けど、本当の佐伯虎次郎はめんどくさがりでエロくて無駄だらけのダメ人間である。例えば私が彼にいくら隣の家だからと言って部屋の窓から入ってくるなと言えば、俺の部屋からのがお前の部屋近いんだもんと言ったようなめんどくさがりだ。私はそのたび、そのくらいの距離歩けよと思う。因みにちょっとえっちぃシーンのあるDVDを借りては私を自分の部屋に招き、気まずくなって画面から目を離す私をニヤニヤしながら見たりと性格も宜しくない。だがしかし、ムカつく事に奴は無駄にいい声だし男前。女の子がほっておくはず無いのに、どうして私にそんなにも構うのかと一度聞いたことがある。その時彼は面白いから、と無駄に爽やかな声と表情で言ってきた。物凄く殴りたくなったが仕方ない、いつものことだ。ついでに、構って貰って嬉しいでしょ?と笑顔で言われガムテープか何かでその口を塞いでやろうかと何度か考えた。が、悔しいけどちょっと図星だった。人気者の虎次郎を独り占めしてるようなそんな優越感が私の中には確かにあった。だから何も言えずただ言葉を詰まらせ、照れ隠しに虎次郎を叩く事くらいしか出来なかった。

そんな彼が今、何故か私のベッドで爆睡している。上半身を起こし、ベランダを確認すれば、鍵が空いている。ああ、昨日開けっぱなしのまま寝てしまったんだっけ。恐らくいつものようにそこから入ってきたのだろう。マジで勘弁してくれ、心臓に悪い。はぁ、と溜め息をつくと熟睡していたはずの虎次郎が上半身を起きあがらせていた私の腕を引き、再び布団の中へと引きずり込んだ。油断しきっていたせいか、虎次郎へとダイブしてしまった。


「虎次郎、ちょっと!寝ぼけないでよ」
「寝ぼけてないよ」


だったら離してよ!と抗議の声を上げるも虎次郎は意地の悪い笑顔で嬉しいくせに、可愛くないなと私に顔を埋めてまた眠りにつこうとするもんだから、慌てて引っぺがそうと試みるも、どうやっても離れない。諦めて私も二度寝しようと瞼を閉じる。でもやっぱりムカつくから黙って一発叩いておいた。



わがままな君の一面



(…名無し気持ちいい)
(サエが言うとエロい)
(えー…)


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お題、確かに恋だった様


2011/10/13 サエさん誕生日おめでとう!




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