よくあるラブコメ



その日はたまたま体調が悪くて、イライラしてて。いつもなら怒らないような事で恋人と喧嘩をしてしまった。我ながらくだらない理由だ、と呆れるも、こじれた仲は悪くなるばかりで、今更謝るなんて出来なくなってしまっていた。


憂鬱な日々は続き、自分がどれだけ彼を大事にしていたか気付いた。そしてどれほど思われていたのかにも。


気付いていても、今更言葉に出すのは凄く勇気のいる事で。ごめん、たったその一言が言えない、そんな自分に腹がたった。謝るタイミングを計っている、と言えば聞こえは良いけれど、それはただの自分への言い訳に過ぎない。ただ、もうお前なんか嫌いだ、と言われるのが怖いだけ。


そうしているうちに、彼氏の誕生日がやってきた。


喧嘩してから1ヶ月と言う月日が経ち、友人からあんたら別れたの?なんて聞かれる始末。全く口を聞かなかったのは最初の二週間くらいだが、それからは気まずくて他人行儀。端からみたら別れたのかと勘違いされてもおかしくは無い。


例に別れたのかと勘違いした女子が彼に告白している事を友人が話す。彼女はきっと、仲直りさせようと背を押してくれたのだろうが、それができたらとっくにやっている。ぐっと拳を握りしめ、強がって興味の無いフリをする。本当は悔しかった。私が彼に一番近い、彼女というポジションにいるのに、彼にベタベタと触る女の子も、それを止めてと言えない強がって意地張っている自分も。


いい加減に素直にならないとほかの子に取られるよ、と真剣な表情で語りかける友人。全く同意だよ、私も。早く仲直りしなきゃと思うもあまりに時間が経ちすぎた。もう手遅れなのではないだろうか、そんな不安を誤魔化すように席を立って教室を出る。と、偶然にもドアを開けると彼氏が立っていたという良くあるラブコメ紛いの状況になってしまった。ただ、良くあるラブコメの様になる心配は、私と彼の間に溝ができてしまっている為無いのだが。


ごめん、と言う代わりに頭を軽く下げて横を通り過ぎようとすれば勢い良く腕を引かれ、彼の腕の中へと収まる。



ごめん、もう限界だわ。



(なんて、まるでそれの様)



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2011/10/10 ばねさんだったらちゃんと謝るか。しまった。




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