連二拍手1





「蓮二君、ものすごく近いんですが」
「何がだ?」
「えぇーと、全体的に、です」
「緊張しているのか、可愛いな」
「蓮二君病院行った方がいいと思うよ」


私は勉強を教えに貰いにお隣さんの蓮二君の家に来ているのですが、なぜか先ほどから後ろから抱き締められています。何故だ。ちょっと、いや、かなり勉強出来ないのですが。離してもらえるとすっごく嬉しいのですが。


「嫌だ、と言ったら?」


困りました。もうお手上げです。どうすればいいのですかね。ほんと。昔から一度言ったら聞かない性格なのでもうさらに困りました。


「なんだ、もう降参か?」
「言っても聞かない性格だから」
「まぁな。よくわかってるじゃないか」


そりゃあ15年も友達やってれば分かりますよ。


「俺は友達だなんて思ったことない」
「左様でございますか」
「…だんだんかわし方が上手くなってっきたな」


彼の言葉を無視して勉強を続けていると、急に彼の腕の力が強くなった。


「な、何?」
「……」
「…何?どうしたの?」


至近距離で見つめ合うとなんだか恥ずかしいのですが、どうすればいいのでしょうか。


「好きだ」
「またいつもの冗談?」
「冗談で言ったことなんて一度もない」


嘘。
だっていつもはこんなに真剣な眼なんかしないじゃない。


「本当なんだ」
「信じてなかったのか?」


半分正解、と答えるともう半分は?と聞かれた。


「もう半分は、信じようとしなかったの」
「…と言うと?」
「ねぇ、ホントはもうわかってるでしょ?」


彼の意地の悪い瞳を見て私は彼を睨みつけた。
にもかかわらず、彼には全く効き目がないようで流されてしまった。


「さぁ、どうだろうな」
「蓮二君、いい性格してるよね」
「褒め言葉として受け取っておこう」
「ついでにひねくれてる」
「人の事言えないだろ?」


思わず口を閉じてしまった。しまった。これじゃあ肯定しているようなものではないか。また負けてしまった。口げんかは強いからな、蓮二君。


「で、返事は?」
「何のことやら」
「しらばっくれるのか?この状況で?」


彼に言われて気がついた。
この状況はまずい。
だって彼にがっちりホールドされていて逃げようにも逃げられない。


「申し訳ないのですが、離してもらえませんか?」
「断る」
「そこを何とか」


て言うか私を膝の上に乗せないでください。ちょっと、首に顔を埋めないでください。近いです。


「言わないのであれば言わせてやろう」


ちょっと、ちょっとちょっと、なんて昔の芸人の物まねなんてしている場合ではないようです。顔が近付いてきているのですが。どうすればいいのでしょうか。


「待って蓮二く、う」


なんてことでしょう、キスされてしまいました。
しかも、その、あの、深いほうの。
なんだか手足に力が入らないのですが。どうすればいいのかわかりません。蓮二君、ちょっと待って。
ついでに途中途中に漏れる自分の声が女の子みたいで気食が悪いです。いや、私は女の子なんですけど、でも、こんなのなんか、なんか、おかしくって、もうどうしよう。


「悪い、長すぎたか?」


苦しそうな顔をしていたのですかね、私。
蓮二君が少しだけ申し訳なさそうに頭を撫でてくれました。


「…で、答えを聞いてもいいか?」


彼はどうしても答えが聞きたいらしいです。
もうそんなの分かり切ってるくせに。




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