体育祭
今日は私が最も楽しみにしていると言っても過言では無いと思われる六角中体育祭。晴れ渡る空は、まるで私達、赤組の優勝を祝福しているようだ。
「まだ俺達も負けて無いですよ!」
「いやいや、得点板が見えているのかい?葵くん」
「まだ100点しか離れて無いですよ!」
「いや、もう100点だよ!!」
もう随分と点を離されていると言うのに、まだ諦める気配の無い葵にツッコミをいれつつ、諦めないと言う根性の強さに感心した。さすがは我らテニス部部長。後半になっていると言うのにまだ諦めないなんてなかなか出来る事じゃ無い。
「先輩、そろそろ二人三脚ですよ。先輩出るんじゃないですか?」
「おっ!ナイス葵くん!ありがとう」
「先輩ってマネージャーなのに運動神経いいんですね」
「寧ろ運動出来ないマネージャーはうちではやっていけないと思うよ」
「そうですか?」
君達をフォローするのにどれだけ体力使うと思ってんの。まぁ、楽しいから良いんだけど、ね。
「さーて、いよいよ私達の出番だね!バネさん!」
「あはは、頑張ろうね」
「うぇ!?サエ!?」
二人三脚のパートナーのバネさんに向かって話した筈がいつの間にかサエに変わっていた。え、何で?バネさんは?
「バネさんなら行っちゃったよ?」
「えぇ!?」
「欠席の子の代わりに別の人と組むってさ」
「ちょ、それさり気なく酷くない!?」
「バネさんその子の事好きなんだって」
「えー…」
バネさん…あなたは私より恋を取ったのか…。二人で優勝しようって、言ってたのに…。
「バネさん…」
「あ、バネさんだ」
うなだれていた首を前に向けるとそこには仲良く二人三脚している二人。
「え、てかあれサエのペアの子じゃん」
「うん」
えー…どう言うこと?バネさんの為にサエが変わってあげたって事?もしそうなら友情より恋愛をとったバネさんを殴ろうかなって思うんだけど、どうなの?
「うーん、ちょっと違うかな」
「なにそれ?」
「バネさんはあの子と、俺は君と組みたかったから交換した訳だから…ね?」
…ね、って言われても。
ていうかそれ、告白?
(期待しちゃって良いの?)
(とか考えてる私って)
(バネさんの事言えないね)
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企画、schooool!様へ提出。
2011/07/10 私はバネさんが好きだ。