完璧不完璧



「お、名無しやん。何してんの?」
「…白石君、」


私は白石君が嫌いだ。

白石君をみていると自分が惨めで仕方が無くなってくるから。
勉強も運動も完璧にこなすし、先生や友達からの信頼も厚い。加えてかなりのルックスの持ち主だから、女の子が黙っているはずもない。何時だって彼の周りには人がいた。
みんなみんな全部持ってる白石君を見ていると、何も持っていない私が惨めで仕方ないのだ。
なぜかって?それは私がクラスでも地味で私は可愛く無い、暗く目立たない生徒だから。友達だって少ないし、当然クラスの男の子と話す機会も無い。クラスメイトは私の名前なんて覚えているのだろうか。そもそも私の存在を知っている人がいるのだろうか。だって担任の先生すらもう半年以上たつというのに私の名前を覚えていないんだから。話す事といえば業務的な連絡くらいだ。
本当違いすぎて、同じ人間なのかどうかも怪しい。
嫉妬心ばかりが積もっていくだけなのに、彼は私にさえ優しく話しかけてくれるのだ。いったいなぜ?私は全く可愛く無いのに。私なんかにかまっていたって何のメリットも無いじゃない。
苛々する。かまってくる白石君も、それを嫌だとはっきり言えない私も。今日こそ思い切って言ってしまおうか。白石君なんて嫌いだ、と。もう話しかけないで、優しくしないで、と。はっきり言わないと駄目だ。それにいつまでも私なんかに時間をとらせてしまったら彼にも悪いし。お互い無駄な時間を過ごさないで済むと思うんだ。
そう考えている所に白石君がいつものように話しかけてきた。ほら、チャンスだ。今言わないと。


「あのね、白石君」

「ん?」


もう話しかけないで。そう言うと彼は理由を求めて来た。めんどくさいなあ、白石君。彼の質問に対して私がそういうところが嫌いなの、と言えば彼は困ったように笑ってごめんな、と謝ってきた。適当に返事を返せば、彼は逃げるように私のそばを離れた。ああ、これで白石君と話さなくてすむや。そう思っていたのに、どうしてだろう。微かに胸が痛んだ気がした。自分で自分が分からないってこういう事を言うのかな。


凍て空を飲み干した鼓動


(訳分かんない)


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お題、M.I様より


2011/04/21 訳分かんないのは私です。





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