知ってるよ、そんな事。
今日、3月14日は世に言うホワイトデー。去年私は一氏に半ば無理やりチョコをあげたんだけど…。お返しとかぜーーーーーたい用意して無さそうなんだよなぁ。どうしよう、ホントに貰えなかったら。て言うか貰えない気がする。猛烈に。だって一氏は小春ちゃんラブだし。小春ちゃんは嫌がってるけど。…思い出してみればバレンタインのチョコだって要らない要らない言って、小春ちゃんが折角作って貰ったんやからしっかり受け取らんとあかん!って言ってくれるまで受け取ってくれなかったし。受け取るって言ってもすっごくしぶしぶって感じが本当悲しかった。もうなんか悲しい通り越してムカついた。何でそんなに渋るかな。そんなに迷惑だったかな。もう悲し過ぎて涙で見えないよ。これから学校なんて嫌だ。猛烈に休みたいよ、ママ。休んじゃ駄目?
「何バカな事言ってんの、早く支度して行きなさい!」
非常にもお母さんから帰ってきた言葉は私を冷たくあしらうものだった。くすん、もういいよ。ばーか。どうせ冷たくされんのは一氏君で慣れてますから。あ、なんか自分で言っといて何だけど今めちゃめちゃ悲しい事のような気がしてきた。泣きながら学校行くとか有り得ない。涙よ、引っ込め。
「…よぉ、苗字」
ホントに涙引っ込んじゃった。だって玄関のドア開けたら一氏が立ってんの。なんで?これ夢…?な訳無いか。ちゃんと目は冴えてるもんな。じゃあ一体なんだ。なんで君はここにいるんだい、一氏。
「お前と登校すんのも悪無いかなって、思っただけや!」
「え、えぇ!?」
「なんやねん、俺と登校すんの嫌なんか?」
「な、訳ないじゃ、ん」
嬉しい。そりゃもう、涙が出るくらい。あ、ヤバい。さっきとは別の意味で泣きそう。どうしよう。一氏のせいだ。
「な、なんでや!死なすど!」
照れているのか耳まで真っ赤な一氏の隣を歩いていると不意に視界にピンクの袋が映った。え、何これ?もしかして、ホワイトデーの、アレ?そう聞くと目を泳がせながら私の目の前に紙袋を差し出してきた。もっと渡し方って物があるんじゃない?
「…要らんのやったら返せ」
「いっ、いるに決まってんじゃん!」
あぁ、私可愛くない。なんでこんな言い方しかできないんだろう。馬鹿みたい。ホント今嬉しくて死にそうなのに。こんなんだから小春ちゃんに負けちゃうんだなぁ。なんて考えてたらなんか涙出てきた。一氏が吃驚して足を止めてどないした?なんて優しく聞いて来てくれたから、もう涙腺は言うことなんて聞いてくれなかった。だめだ、本当に止まんない。
「…泣くなや」
「ム、リだよ」
「何がそんなに悲しいんや。俺とおるのそない嫌やってん?」
「ちが…」
「じゃあ何?言うてみ?」
私、可愛くない。小春ちゃんみたいに可愛くなれない。
吃驚するほど素直に言葉が出てきてなんか恥ずかしい。私こんな素直だったっけ?て言うか、なんか凄く恥ずかしい事言った気がする。どうしよう、一氏の事見れないんだけど。
「…かわええよ。」
「え…?」
「小春と同じ位…かわ、ええから、泣くな!」
状況が飲み込めないんだけど。え、え?なに?可愛い?私が?あの一氏が、私を…可愛いって言ってくれた?そのおかげか私の涙は一瞬にして止まってしまった。一氏パワー凄い。
「ほ、本当?」
「…ホンマ。後、バレンタインの時、ごめん。」
「…いいよ、」
「あの時、ホンマはごっつ嬉しかった、のに、」
素直になれんで。そう言って俯いてしまった彼の手をそっと握る。
「それ、ほんと?」
「おん、せやから、」
俺と付き合ってくれませんか
(ユウジ、)
(ん?)
(好き)
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2011/03/14 文章スランプかしら
2011/06/13 ちょっと編集