もちろんOK



今日はホワイトデー。バレンタインにチョコを上げた女の子が男子からお返しを貰う素敵な日らしい。けど、私には到底縁の無いイベントだった。付き合ってる人は疎か、好きな人すらいない私にバレンタインデーにチョコを渡す相手なんて居る訳が無い。なので強制的にホワイトデーは何事も無く過ぎ去って行くんだな。寂しい事に。仲の良い男子にでも義理チョコ渡せば良かったかな。なんて思ってみたりしてる訳なんだけれど。もう1ヶ月も前の出来事を後悔しても遅すぎるから後悔するのは止めた。とは言え、やっぱり周りがその話題で持ち切りだったら嫌でも耳に入ってしまう。そうするとやっぱり考えないようにしていた1ヶ月前のあのイベントの事を考えて、後悔してしまうのが普通だ。だから今隣の席に座ってる赤髪の彼が大量の飴を配っているのが凄く気になるんだよね。それ、もしかしてバレンタインのお返し?


「ん?そーだけど?」


なんてケロッと答えられるから呆れてしまった。気合い入れてチョコ作ってあげたのにお返しが飴一粒。女の子が泣いている姿が目に浮かぶ。可哀想過ぎる。


「みんな喜んで貰ってるぜぃ?お返し貰えるだけ嬉しいって」

「えー…あたしだったら嫌だー」

「仁王とか幸村君なんてお返し用意なんてしてないから、あるだけマシなんじゃね?つーかお前にはやらねーから安心しろぃ」

「別に欲しいなんて言ってないし」

「じゃあなんだよ、さっきからジロジロと」


別にー。と彼の言葉を流して窓へと視線を移すが、やっぱり思い浮かぶのはバレンタインの後悔。周りがこんなに騒ぎ立てているのに自分だけ蚊帳の外と言うのは想像以上に寂しい物だ。特に隣の席に座ってる男を見ると悲しくなる。だって今回のイベントの中心人物みたいな人じゃないか。ジロジロ見ていた理由が中心にいて羨ましいと言うよく分からない嫉妬心のような感情だったなんて言える訳が無い。あーあ、やっぱり私も渡しとけば良かった。なんて呟けば誰にやるんだよぃ。なんてコメントが隣から聞こえてきた。まぁ、その通りなんですけど。上げる人なんて居ないんですけど。この波に乗れてない感が悲しいんですよ。輪の中に入れて貰えて無い感が虚し過ぎるんですよ。

そう言うと彼は興味無さそうにふーんと言って持っていた飴の袋から一粒飴を取り出して自らの口に放り込んだ。おい、それホワイトデーのお返しなんじゃないのか。いいのか食って。そう聞くと彼はもう配り終わったんだよ。なんて言ってご機嫌そうに飴を舐めていた。くそう、自分は中心に居るからってなんだよ、ブン太のイケメン。


「ありがとよ。つーか、俺としてはお前が他の奴にあげてる所見なくて良かったし」

「…なんだって?」

「だから俺以外にやらなくて安心したって言ってんの。まぁ、俺も貰ってねーけど」

「…え?」

「うわ、聞こえて無いフリとか有り得ない」


いやいや、聞こえてないフリじゃないですよ?そうじゃなくてね、君の言ってる事が私にはちょっと理解出来ないんだよね。うん。とりあえず冷静に考えてみよう。つまりブン太君は、私に好きな人が居なくて嬉しいなー。やっほーい。な訳か。て言うかそれって告白?何それ、今流行りの逆チョコ?いや、チョコ貰ってねーか。駄目だ。もう思考が可笑しくなってる。どうしてくれんだ、ブン太。君が変な事言うから訳分かんなくなってきたじゃん。ついでに言うと顔も赤くなってきた。なんだこれー。


さりげなく告白って、


(どうなのこれ)
(いいじゃん別に。つか返事は?)


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2011/03/14 ブン太はさりげなくイケメン(?)







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