彼の言い分



学年でも有名なくらい甘党な私だが、私の彼氏もなかなかの甘党だと思う。だって好きな食べ物が善哉だし、デートでよく行く場所は甘味処だから。そういうの、私は別に嫌じゃ無かったんだけど、友人に話したら有り得ないと言われてしまった。どう言う事だ。


「デートで甘味処てありえへん」
「えーなんで?」
「なんでやない!ちゅーか、よく行くやなくてそこしか行かんのとちゃう?」
「え、なんでわかったの?」


ありえへんわ…と再度呟きながら私の机に項垂れる友人を訳が分からないと言った様に見つめれば、あんな?とため息交じりに言われ肩を掴まれた。なんだと言うのだ。


「こんなん言うたらアレやけど。財前てなんなん?アホ?」
「光はアホじゃないよ、天才だよ」
「ちゃうわ。アホは名無しやった」


うわ、ひどい。て言うか、普通人の彼氏の悪口彼女に言うか?そっちの方があり得ないよ。それに光は本当に天才だ。大抵の事なら人並み以上にやって見せるし、テニスだって天才って呼ばれて先生に期待されちゃう位だし。それにカッコいいし優しいし可愛いし。…まぁ、ちょっと素っ気無いとこもあるけど…。


「あたしが言いたいんはなんでデートに甘味処やねん、っちゅーことや。」

「いいじゃん別に。美味しいし」

「あかん!絶対あかんって!可笑しいやろ!」

「仮にそれが可笑しいとして、なんで文句言われなきゃいけないのさー」


ふて腐れた様に頬袋に空気を溜めて言えば、フニッと頬を押されて空気が逃げて行った。えへ、と笑えば友人も笑ってくれたがすぐに真剣な表情になり、話を戻されてしまった。


「楽しいの?甘味処。他んとこ行きたいとか無いん?」

「んー…特に無いかなぁ。あ、でも光のお家行ってみたいと思った事はあるけど。」

「なんやそれ!遊園地とか行きたないの?」

「光、人ごみとか苦手そうだもん」

「なんやそれ、ありえへん!」

「…本人の前で話してる名無し等が一番ありえへんわ」


バンと音を立てて私の机をたたく彼女。それ、私の机なんだけどな。なんて考えながら彼女の言い分を聞いていると隣の席で寝ていた光が起きてしまった様で、眠そうに眼を擦りながらそんな事を言って来た。まぁ、確かに、正論ですね。


「ごめんね、起しちゃった?」

「別に。最初から起きとったから」


なんだって?という事はなんだ、タヌキ寝入りをしていた、とそう言う事ですか。そんでもって会話なんか全部ばっちり聞こえちゃってた訳ですか、どーぞー?


「どーぞーじゃないやろ」

「えへ」

「可愛くない」

「…怒ってる?」

「別に」


怒ってんじゃーん。ばっちり怒ってんじゃーん。友人に至ってはもう無視だ。自分最初から関係無いですよスタンスに入ってる。くっそ、お前のせいなのに。機嫌を直してもらう為に善哉でも奢ろうかな。


「…あのさ、」

「ん?」

「…行きたい所あるんやったら言えよ」

「…え、いいの?」

「…別にええんちゃう?俺も」



あんたが楽しい方がええし。


(…ちょ、何今の爆弾投下)
(…は?)


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2011/03/01 財前くんホントカッコいい。







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