終わりの始まり

現パロアルエレ
これこれの発端、のつもり




・ストーカーアルミン話の続き
・彼が歪んだ理由
・現パロ
・ねむりさんちの話とは別次元とお考えください





昔、気弱で非力な僕は、同級生からすればいいカモだった。先生に相談したい。けれどそれは解決にはならないし火に油を注ぐというのを理解していたあまり誰にもなにも言えずただ黙って受け入れていた。子どもは残酷だ。どれだけ相手が傷付くかわからないから、際限なく痛めつけてしまう。彼らもそうだっただろう。僕にとっては生物学上取るに足らないことだと思っていた。それを見過ごせなかったのが、エレンだった。エレンはいつだって人気者でクラスの中心人物で、幼馴染である僕とはあまりにもかけ離れた人間だった。それでもエレンが僕を見放さずにいたのは、その正義感の強さ故だったのだろう。そんなエレンに憧れを抱くのは時間の問題だった。そしてそれが、恋へかわっていくことも。
エレンが屈託のない顔で、なにも知らないまま言う。「アルミン、おれたちずっと、一緒だからな」

中学生になると、エレンへの憧れは恋へかわり、そして歪んだ形で愛へとかわっていた。彼に捧げる無償の愛。耐えきれず盗撮した写真で何度抜いただろう。何度キスをしただろう。写真のあの冷たい感覚に耐えきれず、寝ているエレンへ口づけようとしたのも数えきれないくらいだった。それをひとえに抑制できていたのは、これがどれだけ汚く利己的な感情なのか理解していたからだ。エレンは中学でもかわらず人気者だった。僕はそんなエレンが好きだったし、エレンも僕を友達として好きだったのだろう。中学生ともなれば幼稚ないじめなどなくなり、僕はただクラスにいてもいなくてもさほど変わりのない人間、という立ち位置にいた。それを不満に思うことなどない。常にエレンを見つめていられる。それがどれだけ幸せだったか。見つめるだけでよかった。こっそり盗撮していても彼に迷惑さえかけなければ。いつか欲が暴発してエレンを襲うことになるのも怖かった。僕は僕自身を、恐れていた。いつエレンに危害を加えるともしれない自分が恐ろしくてたまらなかったのだ。大好きだと心の中で囁く。抱きしめられたら。その体に触れられたらどれだけ幸せだろう?想像でいい。エレンに迷惑をかけるのは絶対に嫌だった。それは僕が人間として保てる最後の矜恃だったに違いない。
エレンを守られるなら僕はそれで満足だった。非力で頼りなく男らしくない僕から、エレンを守れるような男に。そうすれば僕は彼のそばにふさわしくなれる。ねえエレン。君はそれまで僕を好きでいてくれるだろうか。見放さずにいてくれるのかな。屈託のないあの笑顔を僕は思い描いたけれど、それは時間の経過により薄らいでしまっていた。あの時エレンは僕になんて言ったんだっけ。僕はあの時君にありがとうすら言えずに。今は好きだという言葉さえ言えない。なんて弱い人間だろう。強くなりたかった。
エレンを守れる強さがほしかった。エレンを守りたくて僕は彼を見つめる。監視する。本人にばれないよう。いつか彼が僕を求めてくれたらなんて、あり得ないことを考えた自分に苦笑する。愛しい、愛しくて、たまらなくて。涙が出そうだった。魂に刻む。エレンを、愛している。それだけを。それだけが僕の生きる希望だったから。けれどそんな僕の気持ちなどつゆ知らず、高校生になった僕らはクラスも離れ離れになり、エレンを見つめることなど到底不可能になってしまった。僕にはエレンを養うための教養が必要だったし、親や祖父にもいい大学への進学をひたすら勧められていたから、僕はそのための勉強に必死だった。それゆえに僕はエレンを失うことになった。ひとつ上の先輩に、エレンを奪われてしまった。こんなに愛しているのに、あんなに大好きだったのに、僕にはエレンだけだった。僕の生きる理由はエレン、君が生きているからだった。いつかこの気持ちを告白できたらどれだけ楽だろうと考えたことか。けれど僕は君のために言わなかった。君の幸せを願った。けれどエレン、君は、僕を裏切るんだね。大好きなエレン、いまでも僕が一番君を愛している。あんなやつよりずっと深く。強く。どんなことだってできるほど。なのに、どうして?君は僕に気付いてくれないの?どうしてつらい思いをしなければならないのか。純粋な憧れは少し歪に恋慕へと変化し、それはいつしか抑えきれないほどの憎悪へと変わる。愛している。けれど憎い。僕の気持ちにひとかけらも気付かない君が。こんなに愛しているのに。見つめているのに。いつだって僕にはエレンが一番だったのに、いまはもう、君のなかに僕はいない。それならば、いっそのこと解放してしまおう。君を独り占めするためにどんなことだってしよう。
僕には君だけのように、君も僕だけになってしまえばいい。世界はいつだって独りよがりだ。無い物ねだりでどうしようもなく腐っている。エレン以外の人間などどうだっていい。だって僕にとっての世界は、エレンだけだから。
エレン、あの時君は僕になんて言ったんだっけ。僕はもうそれすら思い出すことはできない。










愛は憎しみに、憎しみは愛に。勝手に設定をつけたしてしまった…
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