空腹は愛で満たせ

原作設定
嘔吐、グロ表現があるので苦手な方はブラウザバックでお戻りください
平気な方は↓













 
 
 
 
「なあエレン、うまいか?」
 
見たことのないよう笑顔でそれを押し付けてくる。唇にぬるりとした液体を擦り付けられて吐き気を催した。
どうやら兵長はいかれてしまったらしい。
 
顔を真っ青にしてえずく俺を見て兵長はあからさまに顔を歪める。俺が食わせてやってるのにまずいなんて言うのかと冷ややかな声で言われて思わず吐いた。先ほど無理やり食わされた消化しきっていないそれが胃液とともに出てくる。びちゃびちゃと汚い音を立てて地面に落ちていく。妙なスローモーションにああ、兵長を怒らせてしまったなと思った。
 
「なあ、エレンは、俺が食わせてやったのに吐くのか?まずいなんて言うのか?」
 
「す、すいませ、 うえ」
 
「最低だな」
 
嘲笑とともに吐き出されたその言葉にぞっとする。嫌わないでください。お願いですといえば、なら食えるよな?全部。なんて無茶を言う。無理に決まっている。胃の許容量をはるかに超えているし、そもそも生理的に受け付けない。食えば食うだけ吐くことは目に見えている。それでも俺は好きでたまらない兵長に愛想を尽かされるのが怖くて無理をするしかないのだ。
 
「なあエレン、うまいか?」
 
同じことを問うてくる。にこやかに言う兵長に、歪んでいるな。なんて思いながら俺ははい、うまいですと言う。それを聞いた兵長はこれまでにないくらい嬉しそうな声を出した。
 
「そんなにうまいか?」
 
「…はい」 
 
エレンはおかしいなあ、なんて。頭を撫でながらそんなことを言ってくる。おかしいのはあんたですよと思いつつ、頭を撫でられるのは好きなのでまたはいと相槌をうつのだった。
 
「そんなにうまかったかあ」
 
「はい」
 
「同類の肉がうまいなんてエレンはおかしいなァ」
 
「はい」
 
「なら、この巨人の肉、全部食えるよな?」
 
思わず唖然とした顔でえ、と漏らしてしまう。それを聞くなりさっきまで笑っていた顔が一変、またくしゃりとした顔になって、食えるよな?と有無を言わさない声で言ってくる。びくりと肩を揺らしてからいつものように染み付いたはいを言った。  
 
突き出してくる巨人の腕。さきほど兵長が倒した巨人のものだ。こいつは比較的小さい方だからマシなのかななんて頭の隅で考えながら呆然と突き出された腕に食らいついた。  
無心でまずい肉を食う。横に倒れているこの腕の持ち主を見てしまえば食えなくなるどころか吐いてしまう。それは嫌だ。嫌われるのだけは嫌だ。
 
結局最後まで食べ尽くすことはできなかった。当然だろう。それは予想通りだったらしく、よく食べたなと兵長頭を撫でてくれる。それに甘えて一息ついている俺にごちそうさまは?といってくる兵長の目を見ながら俺は嬉しそうにごちそうさまを言った。  
なんだかんだで歪んでいるのはどちらも一緒だ。もう元には戻れないのだろう。それならそれでいい。俺は兵長といられればそれだけで満たされる。
 
今までにない充足感を胸に抱きながら俺は兵長にキスを求めた。 
 
 
 
 


 
エレンに巨人の肉を無理やり食わせる兵長を書きたかった 
もっとラブラブイチャイチャしてるのを書きたい




back|top


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -