あなたは知らない

現パロ、義父エルヴィン×養子エレン
エレンは高校生設定




エルヴィンさんは俺の義父である。よく似てないねなんて言われるが似てなくて当たり前なのである。血がつながってないのだから。父に捨てられ孤児院にいたところを拾われた俺は、これから何があってもエルヴィンさんについていこうと思った。彼の言うことには逆らえない。俺にとってのエルヴィンさんは神同然、いいえなんて言えるわけがない。
そんな俺に気を使わなくていいんだよと優しげにいうエルヴィンさんに、少しだけ胸が痛んだが、気を使っているわけではない。そのつもりはなかった。

エルヴィンさんの勧めで、彼の勤める高校へと入ったのはもう一年前のことだったか。彼の期待を裏切らないよう勉学に励んだつもりだったが、俺はそちらには向かないらしかった。よく先輩のリヴァイさんに笑われる。
まあそれでも並程度だし、エルヴィンさんも何も言わないからいいかな、なんて思っている。彼といる日々は心地よくて夢じゃないかと疑うほどだった。
夢じゃないんだな、と思うとどうしようもなく嬉しかった。にやける顔を見られて笑われることも多々あった。
いつからだろう。敬愛が崇拝にかわって、それが恋情と混ざって、恋になったのは。気付いたらエルヴィンさんを好きで好きでたまらなかった。お父さんと呼べない理由は、家族になりたくないから。
家族になれば、この恋は捨てなきゃならない。
そんな胸を引き裂かれるような思いをするのは嫌だった。かつて父に捨てられたときのような、そんな感覚。それはもう二度と味わいたくない。笑顔を、人を信じることを教えてくれたエルヴィンさんにはすごく感謝しているけれど、俺はこの人と、ーー恋人になりたいと思っていた。それを悟ったとき途轍もない罪悪感に襲われたのももう久しい。今ではこの甘い疼きがたまらなく喜びと化しているからだ。 

「今日は俺がご飯作る日ですよね」

考え事をする俺を不思議な目で見ていたのが苦しくて思わずそう言ってしまった。ご飯はいつも交互に作っている。今日は俺が当番だったはずだ。エプロンをつけて台所へと向かう俺の腕を、誰かが優しい力で握ってきた。誰かと言ってもいまこの空間には俺とエルヴィンさんしかいないのだからーーもちろんエルヴィンさんである。

「エ、エルヴィンさん?」

思わず声が上ずる。やめてくれ、今あんたに触られると俺は、俺はーー。

「エレン…?」

「……見ないでください!」

つい叫んでしまった。その勢いのまま後ろを向く。エルヴィンさんはソファーに座ったままだから、うつむくとどうせバレてしまうのは考えなくてもわかる。いや、バレるのは時間の問題なのだけど。

「は、離してください。ご飯、作らなきゃ、晩ご飯…」

声が震えてしまう。平静を装うことなんて、俺にはできない。今この人に触れられてることが嘘のようで。けれどこの手の熱さは本物だから思わずその部分が熱を持つ。
顔も真っ赤なのだろう。熱くてたまらなかった。
嫌だ。何を言われるのだろう。最悪のことを考えて、ゾッとしてしまう。
そんな俺の心中を察してか、掴んでいる腕が引っ張られた。このままだとエルヴィンさんにぶつかってしまう、と考えたけれど時すでに遅し、とすんと軽い音をたててエルヴィンさんへともたれかかる形でソファへ座らされる。

「エレン」

ぽん、と大きい手のひらが頭を覆う。そのままゆっくりと撫でられて、その手のひらの暖かさと、エルヴィンさんに触れられているという事実が嬉しすぎて泣きそうになる。

「泣かなくてもいいのに、エレン。お疲れ様、いいこいいこ」

力を脱いてエルヴィンさんにもたれると抱きしめられた。大きい身体。暖かくて、広くて、エルヴィンさんの香りが鼻腔をくすぐって、どうしようもない心地よさだった。

「エルヴィン、さん」

「どうしたの?」

「す、好きです、おれ、エルヴィンさんが、すき」

「うん、わかっているよ」

私もだよ、と髪の毛にキスをしてくれる。ご飯作らなきゃ、と思ったけれど今はいい。今はこうしていたい。今だけでいいから触れ合っていたい。

「すき、です」

エルヴィンさんはきっと家族愛だと受け取っているのだろう。それでもよかった。彼に好きだと伝えられたらそれだけで幸せだから。伝わっていなくても、不毛だと他人に罵られても構わない。


俺が愛してるのはたった一人だけ。









もっと会話しろ!!!!
エルエレはこんな感じのほわほわしたのが好きです。
父性と恋愛感情を一緒に求めるエレン。全てを包み込むような愛を与えてくれるエルヴィンさん。
エレンは気付いてないと思ってるけどエルヴィンさんきっとわかってるよ。エルヴィンさん視点も書きたい 





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