Trash !

そもそもはアキ計のつもりがモブ計書きたくてあわせたらカオスすぎて収拾つかなくなったので落ち着いたらまとめたい

以下スクロールでどうぞ




アキ計、R18
中学時代捏造注意!

「お前って、兄貴と似てないよな」

唐突に言われて反応に困る。なにが、と問い返せば、全部がと答えられ、それ以上の反応はできなかった。無言のアキラを横目にクラスメイトは言葉を続ける。

「一番似てねーのは性格だよな、で、次に顔かな」

性格は暗いし最悪だけど、顔は一級品だよな。なんたってあの女顔、たまらない。あれで女なら口説いてたけど男だからなあ、さすがになーとクラスメイトが言うのを受け流しながら、アキラは確かにと思った。自分と兄貴は似てない。顔も性格も体つきも運動神経も。アキラの顔が精悍な男であるのに対し兄の計は女のような可憐な顔つきだし、性格は真逆で、体つきだってアキラの方がよっぽど男らしい。兄の体つきといえば細くて柔らかそうな、そのうえ色白で筋肉もついてない。そうくれば男であることを恨む他なかった。損してるよな、クラスメイトはため息まじりにそう言ってのけた。それを右から左へ聞き流したことを後悔するのは数日後のことだ。

「…あれ」

アキラは何気なく覗いた窓から兄の計が見えた。誰かと喋っている。珍しいこともあるもんだと思っていれば、その相手は先日女だったらと言っていたクラスメイトだった。ずくりと胸が痛む。ずきずきと甘く疼いて、頭のなかがそれで埋まっていく。兄はといえば親しげに且つ楽しそうに話していて、俺にはあんな顔をしてくれることはないのにとアキラは心の隅で思った。

「先輩って付き合ってる人いるんすか?」

くだけた敬語でしゃべりかけてくる後輩は、アキラのクラスメイトらしい、というのをさっき本人の口から聞いた。しきりに恋愛関係の話を聞くあたり気の使えないやつだなと思ってしまう。挙句は可愛い顔ですよねだとか、女みたいだとか、言われたくのない言葉ばかりをかけられていていい加減つらかった。なんのつもりで聞いてるのかが理解できなくて、それでもとりあえず話にはあわせてやっていた。計としてはさっさと立ち去りたかったのに後輩は離してくれない。それどころかにじり寄ってきて、計は壁に追い込まれてしまった。

「あのさ、」

もういいかな、そう言おうとした時に、後輩――名前はなんだっけか――が腕を掴んでくる。

「先輩って、可愛いですよね」
「はあ?」
「なんで男なんすかね。女だったらよかったのに」
「何言ってんだよ」

独り言ですよ、その言葉が思っていた以上に近くから聞こえたことに気づいたのは、そいつの顔が間近にあることに気付いてからだった。

「っ!!?」

思わず息を呑む。遠慮も技巧もへったくれもなにもないキスをかまされ驚愕に開いたままの唇の隙間から舌が入り込んでくる。その気持ち悪さに顔を顰めていても、後輩は無遠慮に計の口内をかき回していった。

「は…ッ」

慣れてもいないキス――そもそも計はこの年でキスすらしたことがなかった――にくたりとしていると、いいな、という声が聞こえてくる。それと同時に腕を引っ張られ、すぐ近くのいつも空いている部屋へと連れ込まれた。思っている以上の力強さに痛いと言えば、部屋へと押し込まれた瞬間離される。よろけた体制を立て直せば、静かななかに響く施錠の音。

「は、あ?」

すっとぼけた声がでたもんだなと自分自身に呆れていれば、振り向いた後輩の顔にはねっとりとした笑顔が張り付いていた。背筋に冷たい汗が流れるのと同時に、計は床へと押し倒される。想像よりも激しい打突にうめき声が出てしまったけれどそれを気にかける余裕など全くなく、むしろそんな声にすら興奮している、雄の姿。

「な、なんだよ、っ!」

言葉を遮るように覆いかぶさってくる。慌てて抵抗すれどもそれはもう遅く、男は計へと二度めの口づけをする。愛撫とは程遠い、自分の欲を満たすだけのキスに、それでも性経験に乏しい計の体は従順に快楽だと受け止めてしまう。

「い…や、ぁ、んっ…」

か細い抵抗の声は煽るものでしかなく、それに気付けない計はひたすら嫌を連呼する。その声も顔も同じ男とは思えないほど可憐でいやらしくて、性別が同じだとか下には同じものがついてるだとか、そういったことはすでに男の中からは消えていた。過ぎた行為だとわかっている。クラスメイトの兄だとも。そしてそのクラスメイトが、この兄に対して、家族の枠からはみ出た気持ちを持っていることも。だからこそ手を出してみたかった。何事にも無関心なあの男が執着するほどの人間。無垢なこの兄は弟のそんな気持ちにも周りがどう見ているかもわからないのだ。それが馬鹿で可愛く思えてしまうほど、彼はもう、毒されている。

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( 2012/09/26 )


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