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黒子から勉強を教わり初めて一週間。本来のテスト期間に突入した。自分でも驚くほどに割と勉強に集中している、と思う。教えるのが黒子だからか?…何かよく分かんねーけど恥ずかしくなってきた。まぁそれは置いといて、勉強しだして一週間。バスケをお預けされて一週間。とっくに限界だったがそろそろ死にそうだ。
「バスケしてえ」
ていうか、思いっきり動きてえ。
「火神くん…やつれてます?」
「バスケしてえ…」
ストレスが溜まりまくって仕方がない。もともと長く座って勉強なんて向いてない。きっとそういう体のつくりになってないんだ、オレの体は動きまくるためだけにつくられているんだ。
「素晴らしい現実逃避ですね、見事です」
「ありがとよ」
言い返せる気力もない。
「…火神くん、本当にバスケが好きなんですね」
黒子を見ると、やっぱり無表情だった。でもその奥に何かが、ある気がした。
「まぁ…好きでやってるしな」
「…もし、火神くんより強い人がいなくなってしまったら、どうしますか?」
いきなりの質問に、詰まってしまった。こいつは一体何が言いたいのだろう。
「自分が強くなりすぎて、周りが全然相手にならなくなってしまったら…火神くんはつまらなくなったと、バスケをやめますか?それとも…」
「お前…」
オレは頭悪いからうまく言えねえけど、黒子には何か背負っているものがあることだけは分かった。その何かが何なのか知らねえけど、オレの答えは考えるより口に出るのが早かった。
「バカか!」
「…?」
「相手は強けりゃ強いほどバスケが楽しいに決まってる。オレより強い奴がいなくなったら?んー…そんときは、アメリカ戻ってでも探す。まずオレより強えー奴なんてまだまだいっぱいいるだろうしな。そいつら全員と戦いてえよ」
バスケの強さに限界なんてない。強さを求めれば求めるほど、より高みを目指すことほど面白いことはない。そうだよな、“ ”。
「…火神くん……」
黒子はもともとからまん丸い目を見開いた。そんなに変なこと言ったか?やっぱオレ日本語変だったかな。
「君って…バスケ馬鹿ですね」
「ああっ!?」
「でも、」
一緒にいて飽きません
ドキ。あ、また心臓がうるさくなってきた。