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金色の長い髪に、短いスカートから伸びる長い足。白い肌。一言で言えばすっげー美人。それでいて、なんか見たことある。

「お久しぶりです、黄瀬さん」

黒子が言えば、ふ、と笑ってこちらへ歩み寄ってくる姿に誰も動けなかった。そして―――

「黒子っちぃぃぃ会いたかったっスー!!」

がばっといきなり黒子に抱きついた。え、え?

「久しぶりに連絡くれたと思えば「髪切って下さい」って!!なんで切っちゃったんスか!?」

「黄瀬さんに頼んだほうが良いかと思って。スタイリストさんにありがとうございましたと改めて伝えておいて下さい」

「あのとき仕事が入ってなければ…というかここに来るのもスケジュールが立て込んでてこんなに間が空いちゃったっス!!」

なんだろう…なんか…最初のイメージと全然違う。ていうかいい加減誰?

「お前知らねーのか?黄瀬涼だよ、モデルの黄瀬涼」

「モデル…すか?」

「最近CMとか出てんだろー、コンビニとか並んでる雑誌ほとんど表紙だし」

なるほど、そういえばテレビでちらっと見たことあるような。で、何でそんな奴が黒子と知り合いなんだ?

「火神くん。黄瀬さんは例のキセキの世代の1人です」

「……は…!?」

黒子に抱きつきながらこちらをきっと睨んでくる。なんていうか、そんな表情さえも様になるというか。

「へぇ、アンタが黒子っちの…」

黒子を放して、今度はオレの正面に立つ。上目使いでじろじろ見られてるけど、それより周りの視線が痛いんだが。いやおかしいだろ、オレ悪くないだろ。

「オレが今日ここに来たのは黒子っちの新しい光を一目見ておこうと思ったからっス」

“新しい”光…?

「…黄瀬さん」

「じゃあ改めて、神奈川の海常高校バスケ部マネージャー、黄瀬涼っス」

「誠凜バスケ部カントクの相田リコよ。よろしく」

―『彼女もプレイヤーとして。でも彼女はボクなんかより全然凄い人で、彼らから必要とされていました』

黒子の言葉を思い出す。きっとこいつのことだ。こいつも黒子と一緒に、帝光中の一軍でキセキの世代と練習をしていた女子なんだ。

「…それにしても黒子っち、その…火神くんスか?黒子っちには勿体無いよ」

「なっ…」

「海常においでよ。また一緒にバスケやろ?」

辺りがざわつく。黄瀬は綺麗に微笑む。黒子は真っ直ぐに黄瀬を見返していたが、すっと頭を下げた。

「そんな風に言って貰えるのは光栄です。丁重にお断りさせていただきます」

「ヒドっ!!」

だんだん飼い主と犬みたいに見えてきた。黄瀬の扱いに慣れてんなあ…

「…ま、そう言うのは分かってたっスよ。黒子っち頑固だもんね」

「どうも」

「でも火神くんを新しい光としたのはどうかと思うっス」

「あ!?なんだよさっきから…」

転がっていたボールを拾う。黄瀬がこちらに向いてドリブルをするから、思わず構える。

対面すると分かった。
女だろうが何だろうが、直感で分かった。こいつは強い。

――キュッ

オレの右側を抜こうとするがいち早く反応し、それを防ぐ。

「(危ねェ…っ!!)」

防いだ、と思った。

「―…えっ」

誰かの声が聞こえた。
右側を抜こうとするギリギリのフェイクで切り替え瞬時に方向転換する。
これはたった今、オレが練習中でした技だった。

「…やられました」

黒子が呟く。

「黄瀬さんは相手の技を見ただけで自分のものにする模倣が出来るんです」

よし、分かった。
とりあえずなんでもアリなんだなキセキの世代…






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