火神くんと付き合い始めた。
彼は青峰くんにも劣らないバスケ馬鹿。本当に食べる・寝る・バスケしか頭にないことは分かっていた。でもこれは、どうしたものでしょう。

「黒子!?おまっ…」

隣で雑誌を読んでいる火神くんの肩に頭を乗せてみると予想通りの反応だった。顔を真っ赤にして、固まってしまう。ううむ、今日も揺るぎない。

「…嫌でしたか?」

こう聞いてしまうのはズルいと自分でも思う。でもボクだってそれなりに、思うことは色々あるんです。

「嫌なわけねーだろ…」

平然を装ってまた雑誌を捲るけれど、もう雑誌に意識がいっていないことは分かる。視線が泳いでるし、動揺してるのバレバレだし、何か面白いことになってるし。
この通り火神くんはバスケをしているときは野性的で男前で格好いい(ノロケ)ですがこういう風に2人っきりになって恋人らしい雰囲気にしようとするといつもの面影がないくらいのシャイボーイになってしまうのです。困った困った。こういう人だと分かっていて好きになったんだし、別に不満があるわけではない。可愛いし。ただ欲を言うとすれば、たまに、ほんの少しだけ、火神くんからボクを抱き締めてくれたりだとか、キスしてくれたりだとか、してくれたらなー、なんて。



「信じらんねっ!火神っちどんだけヘタレなんスか!」

黄瀬くんに話せば予想通りの返事だった。いや青峰くんは大っぴらすぎると思うんですけど。

「青峰っちはあれくらいでいいっス。いいじゃないスか男前で、うわあ青峰っち男前ー!超好きー!」

「そういうことは本人に言って下さい。あと目立つんでやめてください」

でも青峰くんと黄瀬くんはなんだかんだでうまくいっている。上手い具合にドSとドMの釣り合いが取れているからだろう。

「ひ、酷くないっスか…でも黒子っち、たまにはそのまま火神っちに伝えてみたらいいじゃないっスか。火神っちだって多分、黒子っちが思ってることしてあげたいって思ってるはずっスよ、恥ずかしがってるで!黒子っちに我慢させてるって知った方が火神っち悲しむっスよ」



「おう、どうしたいきなり」

「すみません。ただ急に、会いたいなって思っちゃって」

火神くんはそっか、としか言わなかったけど、ほんの少し赤くなって、嬉しそうだった。別に黄瀬くんに言われたから来たわけじゃない(黄瀬くんが聞いたらひどい!ってまた言いそうですけど)。でも黄瀬くんに一押しされたからこうして来ることが出来た。何て言ってみようかな。少し、困らせてしまうのもいいかもしれない。それでも火神くんは、仕方ねえな、って、満更でもなさそうに優しく笑ってくれるだろうから。


僕の体は70%以上君で出来ている
(僕は今幸せだけれど、君とならもっと幸せになれるんだ)








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