la mer

「いらっしゃいませ!」

 食べ終わった皿を片付けながら、ララは入ってきた男たちににこやかに挨拶する。派手なシャツを着た彼らは、なぜかニヤニヤとララを見ていた。

「……3名様でよろしいでしょうか?」

「あァ」

「こちらのお席にどうぞ」

 席を案内し、メニューをテーブルに置く。ごゆっくり、とララが言い、去ろうとした時。

「嬢ちゃん」

 男の一人に呼び止められた。なんでしょう、と振り返ると、男は何やら紙を取り出し、それを広げた。

「!! これ……!」

 本から破いたらしい紙には、ララと同じ、深い青の髪と青緑の瞳を持つ妙齢の女性の写真があった。『絶滅したヒプノ族』と大きく書かれている。

「嬢ちゃん、ここの人に拾われたんだってね」

「どうしてそれを……!?」

 ララが問うと、男たちはいやな笑みを浮かべる。

「なんかあると思って、ちょっと調べさせてもらったよ。おれたちゃこの紙をくれた人んとこに行くが、嬢ちゃんも一緒に来るか? もちろん誰にも言わずにだが」

「………」

 この男たちについていけば危ない。突然いなくなったらゼフ達も心配するだろう。
 しかし、それ以上に自分の生い立ちを知りたかった。一応自分の身を守れるくらいの強さもある。
 ララは無言で頷いた。



「……おいクソジジイ」

 ララからの注文が急になくなり、様子を見に厨房から客のところへ行ったはずのサンジが、また厨房に戻ってきた。
 コック達の様子を見ていたゼフが振り返る。

「どうした、サンジ」

「ララが……部屋にもどこにもいねェんだ」

 ここにもいねェよな?と切羽詰まったようにサンジは辺りを見回す。ゼフは急いで甲板へ出た。

「買い出しの船はあるな……客の船でどっか行ったか、連れ去られたのか……」

「連れ去られたにしては妙だな、客達は何も気にしないで食ってる……そうだ」

 客に聞いてみる、とサンジはまた厨房を出て行った。

「ララがいなくなったんですか?」

 パティ達コックが、ゼフに問いかける。あァと頷き、コック達が騒ぎ出す前に、お前らは気にせず働けと唸る。ララが何も言わずいなくなることはこれまでなかった。一体何があったのか。
 扉が開き、サンジが戻ってきた。

「話によると、男たち3人と店を出たらしい……!」

「こっから一番近い島はピープル島だが……島をしらみつぶしに探していくしかねェな……」

「おれ、ララを探してくる!!」

 言って、サンジは厨房を飛び出して行った。

「ララ、大丈夫ですかねェ、オーナー!!」

「……知らん。いいから働け。おれが店に出る」

20171222
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