※真名バレなし
※カラオケパ○ラネタ
※山なしオチなし意味なし


「いよぉマスター! こちら『新宿のアサシン』になりまーす!」

 個室のドアを開け、居酒屋と間違えるほどに元気よく声を上げたのは、新宿のアサシンその人だった。
 普段の半裸のような恰好とは一変、シャツを羽織り、現代社会に出ても違和感のない格好をしたその姿はただの美形のお兄さんでしかなかった。左胸に下げられたネームプレートには「研修 新シン」と書かれている。手書きのその文字は丸っこく、何となくチャラそうな印象を与えた。

「その服も似合ってるね」

「だろ! 俺ァ顔だけはいいからさー、何着ても似合っちゃうんだよ」

「大層な自信ですコト……」

「ハハッ、俺が色男なのは事実だから。で、どうだい? 俺特製ドリンクの味は」

 アサシンにそう問われ、テーブルの上に置かれたドリンクに視線を落とす。確か味は巨峰シロップとウーロン茶が入ったものだったか。見た目は普通のウーロン茶となんら変わりはないけれど、グラスには何故か赤と白のストローが二本突き刺さっていた。
 何故二本もストローを使うのだろう。アサシンのイメージカラーは赤と白だっただろうか? そんな疑問が、なんとなく口をついて出た。

「アサシン、なんでストロー二本なの?」

「ん? あぁー、なんでだと思う?」

「分からないから聞いてるんだけど……」

「ちょっと考えりゃ分かるさ。なっ、考えてみ?」

「えー、ええっとぉ……。……あっ! アサシンの腰の飾り! あれ赤と白だ! これが正解でしょ!?」

 ふふん、と思わず鼻が鳴る。このストローはアサシンの腰の飾りをイメージしているんだ、と気付いた瞬間、ぱっと視界が開けたような感覚があった。恐らく人はこれをアハ体験なんて呼ぶのだろう。もしかしたら自分は天才かもしれない、そんな事を思いながら、アサシンの顔をちらりと見る。
 ぱちりと目が合うと、アサシンはにっこりと微笑み、ぐっと顔を近付けてくる。そして、「正解はぁ」と耳元で囁いた。

「俺とマスターが『二人でひとつのドリンクを飲めるように』でしたぁ」

「えっ!?」

 ベッドの中と同じ調子で囁かれ、思わず顔に熱が集まる。いや、ていうか同じグラスをストロー二本でシェアするとか、なんでそんな事考えたんだ!? いくらなんでも頭がハッピーすぎやしないか!?
 そんな風に混乱していると、アサシンは突然「アハッ」と噴き出した。ああ、おっかしい。そんな事を言いながら、アサシンは腹を抱えて笑う。笑い転げるアサシンを見て、さらに頭に疑問符が浮かぶ。

「なぁんて、うっそー! いくら俺でもンなバカップルみてぇな事しねぇよ!」

「! はっ、はぁ!? 騙したの!?」

「なんで信じちゃうんだよぉマスター! あんまり笑わせないでくれ!」

 マスター、顔真っ赤じゃん。そう言って笑うアサシンのせいで、さらに顔に熱が集まっていく。それは決してトキメキなどからくる赤面ではなく、もちろんアサシンの冗談を真に受けてしまった自分が恥ずかしくて、だ。

「ア、アサシンは遊んでないで仕事して!!」

 照れを誤魔化すようにそう叫べば、アサシンは笑いすぎによって出た涙を拭いながら、「分かってるって」と言った。

「んじゃ、ごゆっくりー」

 ひらりと手を振り、アサシンは静かに部屋から出て行く。ぱたん、とドアが閉まったのを見届けてから、「はぁー」と小さく溜め息を吐く。
 こちらを無駄にからかってくるアサシンのあの悪癖はどうにかならないものだろうか。そんな事を考えながら、彼の運んできたドリンクに口を付ける。ドリンクは美味しかった。けれど、オマケで付いてきたコースターの柄はアサシンではなかった。悔しい。


(アサ新くんのコースターが欲しい!)(必死)
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