赤いくつ
吐息から派生―鼓膜をあやす君の声


 あるところに、ちいさい女の子がいました。その子はとてもきれいなかわいらしい子でしたけれども、貧乏だったので、夏のうちははだしであるかなければならず、冬はあつぼったい木のくつをはきました。ですから、その女の子のかわいらしい足の甲こうは、すっかり赤くなって、いかにもいじらしく見えました。
 村のなかほどに、年よりのくつ屋のおかみさんが住んでいました。そのおかみさんはせっせと赤いらしゃの古切れをぬって、ちいさなくつを、一足こしらえてくれていました。このくつはずいぶんかっこうのわるいものでしたが、心のこもった品で、その女の子にやることになっていました。その女の子の名はカレンといいました。
 カレンは、おっかさんのお葬式そうしきの日に、そのくつをもらって、はじめてそれをはいてみました。赤いくつは、たしかにおとむらいにはふさわしくないものでしたが、ほかに、くつといってなかったので、素足すあしの上にそれをはいて、粗末な棺かんおけのうしろからついていきました。

青空文庫様より「赤いくつ」
あとがきスペースも一応作りました。毎回ページごとに<div class="ato">〜</div>を書き込む仕様です。めんどくさいので無くてもいいかなとも思ったんですが…。なんとなく…。


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