赤い姫と黒い皇子
 ある国くにに美うつくしいお姫ひめさまがありました。いつも赤あかい着物きものをきて、黒くろい髪かみを長ながく垂たれていましたから、人々ひとびとは、「赤あかい姫君ひめぎみ」といっていました。
 あるときのこと、隣となりの国くにから、お姫ひめさまをお嫁よめにほしいといってきました。お姫ひめさまは、その皇子おうじをまだごらんにならなかったばかりでなく、その国くにすら、どんな国くにであるか、お知しりにならなかったのです。
「さあ、どうしたものだろうか。」と、お姫ひめさまは、たいそうお考かんがえになりました。それには、だれか人ひとをやって、よくその皇子おうじの身みの上うえを探さぐってもらうにしくはないと考かんがえられましたから、お伴ともの人ひとをその国くににやられました。
「よく、おまえはあちらにいって、人々ひとびとのうわさや、また、どんなごようすの方かただか見みてきておくれ。」といわれました。
 そのものは、さっそく皇子おうじの国くにへ出でかけていきました。すると、隣となりの国くにから、人ひとが今度こんどのご縁談えんだんについて探さぐりにきたといううわさが、すぐにその国くにの人々ひとびとの口くちに上のぼりましたから、さっそく御殿ごてんにも聞きこえました。
「どうしても、あの、美うつくしい姫ひめを、自分じぶんの嫁よめにもらわなければならぬ。」と、皇子おうじは望のぞんでいられるやさきでありますから、ようすを探さぐりにきたものを十分ぶんにもてなして帰かえされました。
 やがて、そのものは、立たち帰かえりました。お待まちになっていたお姫ひめさまは、どんなようすであったかと、すぐにおたずねになりました。
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -