私は、夢をみた。
深くて、暗くて、切ない、夢。




気が付いたら私は暗い路地にいた。日が暮れてしまってるけれども、ほんの少し薄暗いだけなのに人が誰もいない。なんだか変。でも無闇に動いたら迷子になってしまうから、誰か通るまでは動かないでいることにした。まぁ今の時点で知らない土地にいるわけだから、迷子なのかもしれないけど。剣心、心配してるんだろうな...。そうやって途方に暮れていたら、どこか遠くから大勢の足音がした。
ざっざっ、と一寸の乱れもない力強い音。どうもこっちへ来るようだ。やった!助かった!!路地へ来る手前で音のする方へ飛び出る。

「すいまっ...!!?」

浅葱色の山形模様のはいった羽織、そして、「誠」の旗。
新、撰、組...?何で名で、新撰組なんているの?今は明治じゃないの?

「邪魔だどけ!!」

働かない頭で考えていたら、荒ぶった声音で威嚇される。その声がとても恐ろしくて、体中に響いて、動こうとしても動けない。

「もう一度言おう、そこをどけ!!!!」

むっ…無理無理無理!!!その声のおかげで動けない!どうしようっどうしよう...!助けて剣...!!
剣心!!!と、心で叫んだ瞬間、抱き抱えられて大通りまで連れ去られた。抱き抱えられたときにみた、緋色の髪。え、

「今のは壬生狼だ、日が暮れているのに路地に女ひとりでいるのは危ない。」

すとん、と地におろされる。
助けてくれた緋色の髪の正体をみた。ああ、見間違えるわけない。十字傷がなくても、これは、この人は、私の愛する人だ。剣心。剣心だ。




(それは、)(切ない)
(恋物語)




「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -