セフレか恋人か。と聞かれたら、多分前者。きっぱりと言える私は馬鹿みたい。だけどしょうがないじゃない、付き合ってもないのにセックスだけは当たり前のようにしてるから。
「夕飯食べに行く?」
え、と小さく呟いた。だっていつもはヤったらすぐ帰るのに...。
「いや?」
嫌なわけない。むしろ、嬉しい。だって彼はセフレだとしか思ってないんだろうけど、私はちゃんとあなたがすきなんだよ。気づいてないだろうけど。
「いくの?いかないの?」
そんなこと考えていたら、返事するのを忘れていた。もちろん行くにきまってる。


なんだかこうやって並んで歩いてると恋人みたいだね。そう彼は言う。そうよね、ラブホテルから出てきて腕まで組んでるんだもの。私に対する嫌味なのかしら?ま、彼にそんな悪気もなくただ思ったことを言っただけなんだろうけどね。

私たちはそこらへんのファミレスで適当に他愛もない話をしながらご飯を食べた終えた。外に出るとちょっと肌寒く感じた。ああ、まだ帰りたくない。もうちょっとそばにいたいなんて、がらにもなく乙女な感情を抱く。
「この後、家くる?」
ちょっとの期待と切なさをこめて聞いてみる。
「…ごめん。この後、巴と約束があるんだ。また今度、薫ちゃんの家に寄らせてもらうよ。」
今度なんてないくせに。ばか。彼女との約束あるんだったら私をわざわざ呼び出してラブホテルや食事なんて誘わないでよ!みじめだ。巴さんからであろう電話に出て、笑顔で話す剣心をみて怒りと嫉妬で狂いそう。
気持ちは表に出さず、物分かりの良い女を演じて、剣心から離れた。私が我慢さえすれば、また会ってくれる。セフレは彼女の座にはなれない。それをわかっててこんな関係ずるずると引きずってるんだから。こんなに辛くても離れることはできない。それくらい私は剣心のことがすきなんだ。
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