十も歳が離れた生娘に、こんな穢れた感情を押し付けようなどと。嗚呼、俺は、なんて愚かな。
いつからこんな感情を抱いたか。人より性欲のない人間だと、自分で思っていた。
人斬りのころに、桂さんに遊郭に連れていかれたことがあった。だが目の前にいた女を抱きたいと思わなかった。あの頃はまだ子供だったからかもしれない。いや、盛りであったはずだ。それだから自分は淡白なほうだと思ってたいたのだ。
むしろ、そう思いたかった。なのに、そんな気持ちは裏腹にはち切れんばかりに下半身に血液がどくどく、と集中的に送られていく。
男であることを主張するかのように反り勃つモノが布を押している。右手の人差し指で触れてみた。びくん、と膨らんだ。思わず根元を掴む。いつぶりにこんな行為を...。久方ぶりすぎて思いだせない。やっぱり欲に欠けていたのだ、自分は。
掴んだ右手でゆっくり竿をしごく。びくびく。久しぶりの感覚に腰が浮いた。頭がわいている。わいている脳が、残像をうつす。薫。薫の裸体、歪んだ表情、すべてが想像される。薫。薫。薫。薫。薫。薫。薫...。
目の前まで、感覚も、全てが薫に侵食されている。


びくっ。びゅるるるる.


「っ、はぁ...っ」
いつの間にか果ててて、手にねばついた青臭いような、へんな臭いの白濁としたものが右手についた。薫を思い浮かべて自分の分泌液で欲望のまま手を動かしていた結果がこれだ。
「さい、ていだな...」
こんな虚しいようなやり場のない気持ちなのに、まだ反り勃つ。ああ、ああ、いつかはこの感情を薫に押し付けてしまいそうで...。それが怖くて俺はまたその行為に没頭した。
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