好きだった。
告白した。
フられた。
なんともスムーズな流れでびっくりした。

ずっと温めてきた想いだったから、それが砕けたとき
たくさん涙が出てくるんだろうなって思ったけど
なんだか悲しいを通り越して笑えてきた。
でもこの三年間を振り返ると、やっぱりあの人が中心だった。




「・・・バカやろー」




あの人に向けてか自分に向けてかわからないけど、暴言を吐きたくなった。
ああほんとにバカだ。
私の青春時代を返せ!

すっかり暗くなった窓の外。
外ではテニス部が片づけをしている。
部活をやってた頃が懐かしいなあ。
あの時はあの人と同じ部活にすればよかったとか、しょうもないことを考えてた。

帰ろう。
もういいんだいいんだ!
忘れよう。
鞄を持って席を立つ。




「先輩っ!」




扉を荒々しく開ける音とともに入ってきたのは部活の後輩の宗次郎。
髪がボサボサでネクタイもゆるゆる。
どんだけ急いで着替えてきたんだ・・・?
かなりびびった。




「先輩、」

「な、なに?」

「え、あ、いや・・・」

「なにー?」

「なんでもない・・・かも」




なんでもないわけあるか、そんな姿で。
宗次郎は乱れた髪を整え、ネクタイをきつく締める。
真面目だよなって思う。




「帰りませんか?一緒に」

「いいよ、久し振りだね」

「はいっ」




電気を消して教室を後にする。
隣に並んで歩き出す。
廊下の電気は点いていなくて暗かった。




「先輩縮みました?」




いつの間にか抜かされた身長。
にやりと宗次郎は笑う。




「ばか、宗次郎が伸びたんだよ」

「ふふ、」




外も暗い。
2人で帰るのは本当に久し振り。
家が同じ方向ってのもあって部活をやってたときはよく一緒に帰ってた。
私が三年生になってからはメッキリだったけど。




「宗次郎男っぽくなった」

「ほんとですか?」

「うん、」

「どこがですか?」

「うーん、身長と・・・・・・全体的に?よくわからないや」

「投げやりだなあ、先輩から言っておいて」




ごめんと言えば、嫌ですと笑う。
ここは変わらない。

他愛もない会話をした。
時々宗次郎が何かを言おうとして、でも口を噤んでいるのが気になった。

気づいたら別れる場所に来ていた。




「じゃあ、また今度だね」

「はい」


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