「好きです」




もう何度目だろうか。
彼は今日も私に告げる。
うんうん、と頷くと
彼は、何もわかってないじゃないですか、と膝を抱えた。
その仕草が可愛くて宗次郎の頭を優しく撫でると
あからさまに嫌な顔をして私の手を振り払った。




「やめてくださいよ・・・」

「可愛いんだもん」

「・・・」




宗次郎はお山座りの足を崩し、胡座をかいた。
そして、むしゃくしゃした様子で髪を乱した。




「僕の何がいけないんですか」

「・・・」

「名無しさん、」

「いけなくはないよ・・・宗次郎は」

「じゃあなんでダメなんですか・・・なんで僕じゃダメなんですか・・・」

「・・・」




なんで、と聞かれるとなんでだろう。




「なんでかな?」

「僕に聞くんですか?」

「ですね・・・」




いつもと違い、真剣な目は私の次の言葉を待っている。
まずいなあ・・・。




「・・・えっと」

「・・・」

「えー・・・っと」

「・・・」

「・・・・・・えー・・・」

「・・・わかりました、もういいです」




宗次郎は両手をパンパンと打って話を打ち切った。
困ったように眉を下げて笑う。
そして片膝を立てて腰を上げた。
すっと私の横を通り過ぎ、扉に向かって歩き出す。




「僕、努力しますから」

「・・・」

「あなたに似合う男になれるように」

「・・・」

「あなたが僕なしじゃいられなくなるくらいに、ね」




振り返らない。
その背中は、少し大きく見えた。











それはそう遠くないのかもしれない









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