昼間、鎌足さんの怖い話を聞いたからか無性に怖くなっちゃって
布団に入っても全然眠れなくて。
誰か起きてるかな、と思い布団をかぶって廊下をひたひたと歩く。
するとある部屋から明かりが漏れていた。
そっとその扉を開ける。




「あら名無し」




そこには志々雄さんと由美姐さんと宗次郎さんがいた。
こんな時間なのにまだ起きてたんだ。みなさん夜行性なんですね。
どうしたんです?と宗次郎さんは微笑む。




「あの…怖い話を聞いたら怖くて眠れなくて…」

「あら」

「だから…」

「俺が一緒に寝てやろうか」




にやりとしながら志々雄さんがワイングラスを傾ける。
思わずどきっとした。




「志々雄様には悪いですけど、私が名無しと寝ます」

「何言ってるんですか由美さん、僕に決まってるでしょう?」

「私よ」

「いや僕です」

「じゃあ間をとって俺だな」




なんの間なんだろう…。
思わず言いたくなったけど、なんとなく言えなかった。




「僕が名無しさんを優しく抱きしめて眠らせてあげます」

「宗次郎、お前そのままやっちゃいそうじゃねえか」

「危険ね、やっぱり私が一緒に…」

「由美さんは寝相悪いでしょう?」

「なんですって!?」




ふふ、と宗次郎さんは笑う。
いつみても綺麗に笑うなあ。
由美さんは怒ったような口調だけどなんだか楽しそうで。




「女は女同士で寝るのが当たり前でしょ?」

「誰がそんなこと決めたんですか。差別反対です」

「差別じゃないわよ!」

「絶対に僕が名無しさんと寝ます!」




完全に二人の世界。
大変なことになってしまった。
やっぱり、戻ろう。頑張って寝よう。
そう思った瞬間足が浮いた。




「え?わっ、は、離してください!」

「いいじゃねぇか、俺と寝るか」




志々雄さんに脇に抱えられた。荷物を持つみたいに。




「あ!志々雄さんずるいです!」




それを発見した宗次郎さんはすぐさま近寄ってきて
私の体を引っ張る。
痛い…地味に痛い。




「あ、じゃあみんなで寝ましょうよ」




ぽん、と手を打った由美さん。
いい考え、とでもいうようににこりと笑う。
みんなで?
まさか川の字のように?
なんてすごい絵面なんだろう…。




「ああ、なるほどな。俺のベッド使うか」

「よ、四人は無理ですよ!ていうか降ろしてください!」




そう言うと、あっさりと開放された。
その瞬間私は手首を引かれ宗次郎さんの腕の中。




「じゃあ志々雄さんと由美さんは床ですね、ご苦労様です」

「なに言ってんのよ!年の順だったらあんたが床よ!」

「断ります」




可愛い顔して、すごいこと言うなあ。
そしてなんで宗次郎さんは私の腰に腕を回しているんでしょうか。




「まあそんな熱くなるなよ。俺が名無しと寝ればいい話だろ?」

「なんでそうなるんですか!」

「それなら畳に布団を敷いて寝ましょうよ」

「ん、ああそうだな」




ああ、川の字…。
私は端っこで寝ることにしよう。




「並び順は、志々雄さん、由美さん、名無しさん、僕でいいですねはい了解です」

「おい勝手に決めんなよ」

「これが最善の寝方です」

「はあ…もういいわよそれで」

「仕方ねェな」




私の意見は聞かないんですね。









そして、みんなで横になって寝ました。
宗次郎さんが無駄に近寄ってきて私を抱きしめようとしたり、由美さんの蹴りがきたり(志々雄さんは無害)。
結局ろくに眠れず朝を迎えました。
ああ、眠い。
また今日一日が始まります。








とある夜の出来事







*******

1000HITリクエスト、もつ様に捧げます。
この四人で仲良く、とのことでしたが仲の良さが微塵も感じられない文章になってしまいました。あっはっは。
楽しんでいただけたらよいのですが…。
書き上げるのが遅くなってしまい申し訳ありませんでした。
これからもROMANTICをよろしくお願いします。
この文章はもつ様のみお持ち帰りOKです。
では、リクエストありがとうございました!


椎名





第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -