おい鈍感宗次郎!
いい加減気づけ!
「笑顔が素敵なの」
「へえ、いい方じゃないですか」
「それで、足がすごく速いの」
「僕には負けるかなあ・・・?」
「背はあんまり高くなくて」
「へー」
ずっと前から宗次郎を好きだという雰囲気を醸し出していた。
つもりだったのに宗次郎は一切それに気づかず、私を恋愛対象として見ているのかどうかさえもわからない。
だから思い切って話を切り出した。
宗次郎の特徴を言いまくる。
でも当の本人は気づく気配さえない。
というか本から目を離してくれない。
返事も上の空なのかもしれない。
「彼、今本読んでるの」
「ほー」
「・・・」
気付いてよもう!
「宗次郎、」
「ん?」
「こっち見て」
「はい?んっ・・・」
私はこっちを向いた宗次郎に口づけた。
バサリと本が落ちた。
一呼吸おいた後、宗次郎は私の肩を押し返した。
「な、なにするんですか!?」
宗次郎は手で口を覆った。
頬はほんのりと赤く染まる。
乙女か!
「だって・・・」
「だってって・・・いや本当になんですか?えー!?」
「私の・・・好きな人誰だと思う?」
「え?誰だろ・・・」
「気づけ鈍感!」
「ええー!?」
「・・・」
「・・・もしかして」
「・・・」
「僕・・・ですか?」
なんか物凄く恥ずかしい。
小さく頷くと宗次郎の頬はまた染まった。
「こ、こういう場合どうすればいいんですか?」
「・・・知らないよ」
「僕、恋愛とか疎いから・・・」
「だろうね」
「どうしましょう・・・抱きしめていいんですか?」
「許可とるの?」
「えっ、どうすれば・・・」
ぎゅっと宗次郎に抱きつく。
わあ、と小さく声を漏らした宗次郎は少し戸惑いながらも私の背中に腕を回した。
悩む