僕には名無しさんという、
片思いしている
素敵な女性がいます。



彼女は凄く可愛くて
笑顔が素敵で
いつも良い匂いがする女性。




僕と名無しさんは
小さい頃からの幼なじみでした。






「宗次郎っ!」


「名無しさん^^」


「一緒にお話摘みに行こうよ♪」


「はい、喜んで」




いつも笑顔で僕を
誘ってくれる名無しさん。


本当に可愛いです。



でも、僕が"好きです"と言うと
「ありがとう!」と
笑ってくれるだけで…


彼女は、僕を幼い子供だと
思ってる。



僕が貴女を 心から好きな
ことなんて、きっと
知るはずもないだろう。



だから今日は
名無しさんにもっと
僕を男として見て貰えるように
ちょっと頑張ってみますね^^黒







「宗次郎見て♪景色が綺麗だよ」



僕の方に振り返って
ニコッと微笑む名無しさん。


けれど僕はいつもの
ニコニコした顔で
名無しさんに近づき、



「名無しさんのほうが
綺麗ですよ(ニコッ)」



という。

本当のことですもん、
本当にこの景色なんかよりも
自然なんかよりも
名無しさん、貴女が
一番綺麗で美しいです。





それを聞くと名無しさんは
ぽっと顔を赤らめて


「ありがとう、宗次郎///」


と僕の名前を呼んでくれる。



…名無しさんが
照れた顔、初めて見たや//



貴女の表情豊かな顔は
本当に見飽きません。


どんな美しい花よりも
名無しさん、貴女のほうが
とっても魅力的で
興味がありますよ。







僕と名無しさんは
どんどん森の奥へ入って
森林が豊かな所へ出ます。



足下には、綺麗な花が沢山。


名無しさんの笑顔が
僕のなかで広がります。


すると見事に予感は的中。




「わあっ//!」


大きな瞳で花を見つめた貴女。



(綺麗だなあ///)


花がじゃありません。
名無しさんが、です。


こんな花、貴女に比べれば
どうってことない。




「ねえ宗次郎!紫色の花だよ♪
あとは桃色、黄色…
なんて花だろう?」



小さい頃…あまり思い出したくは
ないのだけれど、
庭に咲いていた花を思い出した。


「恐らく…、藤と胡蝶蘭と…
秋桜ではないでしょうか?」



僕が言うと、彼女は
ぱあっと顔を輝かせて

「そうなの!?
宗次郎は物知りなんだね♪
私、お花大好きなんだ(ニコ)」

と微笑んだ。


今日はなんだかいつもの
名無しさんと違う感じがする。



いつもより少し大人びている。


確かに、僕と名無しさんは
一歳年が離れてて
僕の方が年下ってせいもあるが、
そういう意味じゃなくて。




名無しさん、本当に
貴女は綺麗です…////




花をゆっくり摘んで
誇らしい笑顔で彼女は
坂をくだった。


僕もそのあとを追う。



名無しさん、僕は
本当はいまみたいに
貴女の後ろを歩くようなことは
したくないんだ。



僕は本当は……




「貴女を引っ張って
いきたいんです」




名無しさん、この気持ち
貴女はどう捉えてくれますか?



貴女はまた笑って
「可愛い」って言うんですか?



…そんなの嫌です。






「名無しさん、僕のこと
どう思ってますか…?」


ざあっという風が
僕と彼女を通り過ぎる。


戸惑ったように僕を見つめる
無垢な瞳。


でも、貴女にはちゃんと
解って貰いたいんです。


「宗次郎のことは…
大事な弟みたいだと
思ってるよ///」



名無しさんは照れながら
そう言う。


それじゃ駄目なんだ。



僕は、貴女の弟じゃいけない。


貴女に好かれるような
立派な男にならなきゃ…



「僕は、貴女の弟になんか
なりたいと思ってません。
僕は、貴女に対等に
見て貰いたいんです」




いつまでも年下の子供で
いられるわけない。


僕は貴女の男になりたいんだ。






「…宗次郎ったら…
可愛くないなぁ…」


ふと、名無しさんの呟きが
聞こえた。


何故だろう?


いつもなら"可愛い"って言うのに





名無しさんは僕の方に
来て、溜め息をついた。



「宗次郎は、私の可愛い弟だよ。
いつまでもね……
……でも、宗次郎自身が
そう言うなら、仕方ないか…」





彼女は、独り言のように
そう言って
右手を僕の頬に付ける。










「なんです…」


――チュッ――









……呆気にとられた。


それはもう一瞬の出来事で。



僕の口に彼女が口づけた。



「…私からするうちは
まだまだ子供ね(クス)♪」



ぼうっとしている僕を見て
けたけたと笑う貴女。




やっぱり貴女には適わないや。




僕がどんなに頑張っても
貴女はいつも先を行く。



僕がどんなに背伸びしても
貴女はいつも倍になる。







「せっかく頑張ってみたのに…
台無しですね」


悔しそうに言う。


もう少しで、名無しさん…
貴女の心を射止めることが
出来たろうに。





けれど名無しさんは
にこっと笑って



「あら、私べつに
恋仲になりたくないとは
言ってないよ?」




えっ?

驚く僕。


にこっと笑う彼女。





「それはつまり…//」







「私の王子様になって下さい//」









初めて貴女から
そんな事言われました。






いつも「可愛い」とか
「弟にしたい」とかばかり
言っていたのに。




なんで今だけそんなこと
言うんですか?


僕もう心臓持ちませんよ//



貴女という人は
年上のわりに、子供っぽくて
可愛くて、素直で…





「大好きです、名無しさん…//」





僕がそう言うと
彼女は照れくさそうな顔を
しながらも、
ぎゅっと抱き付いてきた。





「…私もだよ、宗次郎…///」





永久に、一緒ですよ…―――////


















「宗次郎っ♪一緒に帰ろ〜」



「はい(ニコッ)」



「ねえねえ、
名無しのその子って、弟?」



「…やっぱりそう思う!?(笑)」



「うん」



「宗次郎は
可愛いからなあ〜(クス)♪」



「もうっ////
名無しさんなんて、もう
知りません!//」



「狽っ宗次郎〜」






僕が名無しさんに
受け入れて貰えるには、まだまだ
時間が掛かりそうです。





   END.





************

FaVORiTe.の螺黎様より相互記念をいただきました!
年下宗次郎が頑張るお話をリクエストさせていただきました。
ほのぼのした感じで始まり、次第に悶々としていく宗次郎ですがなんともいいですね。
頑張って思いを伝えてハッピーエンド!
よかったね宗次郎!
素敵なお話、ありがとうございました。
そして相互ありがとうございます。
これからも宜しくお願いいたします。


椎名










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