両足をそっと開いて自身を深く差し入れる。
涙を流しながら名無しは甘い声を漏らした。
彼女の熱い中は宗次郎をかりたてる。
卑猥な音が響く。




「ひ…んッ…」

「名無しさん、」




呼べば名無しも宗次郎の名を呼んだ。
切なそうな、切羽詰ったようなそんな声色。
ふと赤く腫れた頬が目についた。
ぴたりと手を添えると、熱かった。
こんなことしたのは自分なのに。
そこに唇を寄せた。




「すごいですね、締め付けっ…」




思わず漏れた声に余裕の無さを感じて宗次郎は自嘲的に笑った。




「んぅッ…ん…」



貫かれる快感に耐えるように、名無しは宗次郎の着物を掴んだ。
涙は止め処なく流れる。
悲しいとかそいうことではなく、ただ快感に溺れて。




「好きって、言ってください」

「ぁっ…す、き」

「…」

「好き、で、すっ…瀬田さまッ…」




これがいとしいというものなのか。
これをいとしいと呼ばずして何と言えばよいのか。
更に熱くなる躰。
じわりと滲む汗を拭い、突き上げる。
潤む瞳は真っ直ぐに見つめ、頬は痛みと羞恥に染まり、唇は止まることなく形を変え、そこからは赤い舌が見え隠れする。
瀬田さま、と呼ぶか細い声が聞こえ背中がぞくぞくと震えた。




「っ…はあッ…」



震える華奢な肩。
守りたいと思うが、自らの手で壊してしまいたいとも思う。



「瀬田、さ、まぁっ」



更に貫かれ、名無しの意識は朦朧としていた。
内部が収縮するのがわかる。
宗次郎もそれを感じ、少しだけ眉をひそませた。



「あっ、やあっ‥!」



びくびくと痙攣する躰。
それと同時に宗次郎も熱を放った。
























「ほっぺ、痛いですか?」

「少しだけ」

「ごめんなさい‥‥」



熱が冷めきらぬ躰を畳に横たえ、宗次郎は名無しの背中に腕を回し抱き締めた。
触れ合う素肌。
なんだか落ち着く気がする。



「あの、さっきも言いましたが‥‥」

「ん?」

「私は‥‥瀬田様が‥‥っ」



言葉は重なる唇の間に消えた。
優しく包み込むような。



「僕にも言わせてください」



耳元で囁かれる、先ほど言おうとしていた言葉の続き。
子宮がきゅうと収縮するのを感じた。
それくらい甘く穏やかで、そして艶やかで。
そっと胸板に額を寄せると、宗次郎はくすぐったそうな声を出していつものように笑った。





(Next 後記)








人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -