またあした  
   
オレンジ色の夕焼け空の下。
今日、俺と宮城は買い物に出かけていた。
買い物といっても古書店で、デートらしいデートではなかったのだが・・・
宮城は、古書店でいい買い物ができたといっていたけれども、俺は正直そんなに楽しくはなかった。

(まぁ、宮城と一緒にいられたし、宮城の喜ぶ顔が見れたからどうでもいいけど・・)

場所なんて関係ない。
好きな人の隣に居れる、それだけで自然に嬉しくなるんだ・・・
きっと、 幸せってこういうことを言うのだろう。

「なぁ宮城・・・」
「ん?なんだ忍?」
「この後、宮城ん家行ってもいい?」

思い切って聞いてみる。
宮城はちょっとうなってから
「悪い・・この後会議が入ってるんだ・・・待ってろっていってもいいが、会議終わった後はちょっと仕事を片付けなくちゃいけないから帰宅が遅くなるんだ・・・すまんな・・」
と謝ってきた。

別に俺のわがままだし、宮城が謝ることはないのに・・

少し期待していたから、ちょっとだけ心が痛くなった。
仕事なんだから仕方ない、とはいつも思うけどやっぱりまだ宮城と一緒にいたいなって。
ずっと一緒にいれたらいいのになって。
『ずっと』なんて叶わないことってわかってるけど・・・
「あっそ・・じゃあいいや・・」

素っ気無い返事の裏側は、かまってほしい心。

マンションまであと約5分。
そしたら「じゃあまたあした」ってお別れをして
明日までの何十時間をどう過ごそうか
きっと、君のことばかり考えているんだろうな

あぁ、もう家に着いてしまったね
もうお別れの時間かな?

それじゃあ最後にキスをして
「またあした」






せんせいまたあした
おれは、たかつきしのぶ。
丸川よーちえんに通う5さいだ!
おれは毎日“ある目的”のためによーちえんに通っている
その目的っていうのは、丸川よーちえんの先生、宮城にあうことだ・・

宮城とおれはうんめい ってゆーので結ばれてるんだ
だから毎日「つきあってくれ!」って言ってるのに、宮城はいつも「はいはい、わかりました・・」って流してしまうからむかつく・・・

おれは宮城のことがすきだから、宮城がすきな本(確かなんとかのほそ道ってやつだ)も読んだし、宮城庸って漢字も書けるようになった。
毎日毎日アタックしてるのに、見向きもしてくれないのはなんでだろう・・・

「忍くん、おはよう」

丸川よーちえんに着いて最初に野分せんせーにあいさつされた。

「おはようございます」

朝のあいさつをして、宮城を探す。
宮城はいつものようにしょくいんしつで本を読んでいた。
おれはダッシュでしょくいんしつへ向かった。

「みやぎー!」

ドアを開け 大声で叫ぶ

「おう、忍おはよう」

宮城が優しいこえでおはようと言ってくれた
おれはそれだけで嬉しくなる・・・

「みっ、みやぎ・・あの・・・・」
「つきあってくれ、だろ?まったく毎日懲りないな・・お前は・・・」
「先にいうなーっ!」

今日の告白はしっぱいになってしまった・・
だけど宮城がおれのことをわかってくれているだけでうれしかった・・・

***

「せんせーさよーならー!」

友達がみんな家に帰っていく
もうさよならのじかんだ

おれも、もう帰らなくてはいけない
だけどもう少しだけ、もう少しだけ宮城といっしょにいたい
明日になればすぐあえるけど、明日までのじかんはおれにとってはすごく長くて、つらいものだ
いっそよ ーちえんにお泊りして、宮城の側にずっといたい

「ほら、忍。お家の人迎えにきてるぞ?」
「うん・・・」
「明日も遊ぶから、心配するな」
「っ・・うるせー!しんぱいなんてしてないから!」
「はいはい・・」

宮城はおれをからかうように笑っていた
あしたまでのじかんは長いけど、宮城があそんでくれるならそれだけで嬉しいからお別れもガマンできるんだ

「じゃあ忍、またあしたな」
「うん、またあした!」

おれは笑顔で手をふった・・





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