■ かけるに。(喰鮫)
「良いですね、良いですね。面白いですよ、で、何故そんなに距離をとっているのですか。」
くつくつと喉を鳴らし私へ近づいてくる。ここには確か蜜蜂くんがいると思っていたのだが…、うちの頭領が何故ここに。
私は一定の距離を保ちつつ苦笑い。
「く、喰鮫さん。」
これ以上ち、近づかないで下さいと口にすると眉を潜めむしろ近づいてくる。
やだやだやだ。
何なんですかこの人ー!!
「いつもいつもいつも、なんなんですか!」
「は?」
「からかってるんですか!私の事!」
「からかう…とは?」
だって、だって…スキンシップが多すぎです、パワハラです、セクハラですと続けるが更に距離が縮まり壁に背が当たる。行き止まりだ。
はわわわと慌て蓋めく私に口角を上げる喰鮫さんは恐ろしく綺麗で、本当に何故私なんかと痛感させられた。
「本当狡いですね、狡いです。」
なんの事かサッパリだ。
困ったように笑う顔にハテナが浮かぶ。
私が何をしたと言うのだ、困らせられているのはこっちだと言うのに。
「ええ、狡いですよ貴方は。」
分からないんですか、本当に。と私の方へ手を伸ばす喰鮫さんはいつもの余裕の表情はなく私はこの手を拒めなかった。
「私は貴方が好きだと言いました。」
こんなに顔が赤く色付いているというのに、こんなに心臓も早く動いているというのに。
ああ、本当だ。
私の頬に置かれた喰鮫さんの手は冷んやりと気持ちが良く、耳に届くほど心臓の音が煩い。
苦手と感じていたのは、仕事に支障が出るほど喰鮫さんを意識していたからだ。
「貴方も私が好きなのですよ。」
その言葉は私のごちゃごちゃだった考えを整頓させ、ストンと音をたてて収まった。
それと同じくして顔が爆発した。
「良いですね、良いですね。貴方はとても可愛らしく初心ですね。」
____________
蜜蜂がいない理由を聞いてみた。
「ああ、蜜蜂ですか。知りません。」
くつくつと喉を鳴らす喰鮫さん。
絶対知ってるわ、この人とじとーっと睨むと
でも、と話を続けた。
君と仲良くしている姿を見ると殺したくなりますねぇ。良いですね、良いですね、貴方を独り占めできます。とニコニコ笑う喰鮫さんに鳥肌がたった。
夜になりやっと開放され急いで蜜蜂の所へ急ぐと、大きな身体を私に被せ怖かったんですよーと嘆いた。私だって怖かったわとプンプンしていると背中が騒つく。
「蜜蜂くん、蜜蜂くん、何がいる?後ろ後ろ。」
その瞬間、蜜蜂の身体がガタガタと震え出した。聞こえる鎖の地を這う音。
「花子、花子?」
「なななななに?」
「死ぬ気で僕を庇って下さい。死ぬ気で。」
うちの頭領は厄介です。
アンケートに影響を受け書いてみましたー、喰鮫さんへ投票ありがとうございました。「喰鮫さんが1番好き」な貴方へ。御粗末様でした(^^)
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