■ 骨董品に夢中です。(蝙蝠in真庭の里)



大好きな私の先輩が市で買い物をして来たらしい、白く細く伸びた手をいろんな風に伸ばし曲げ、いつもの通り大きな身振り手振りでそのうまを皆に話している。

「すっげぇ〜、マジかよスッゲー」

川獺さんも興奮して騒ぎまくっているし何がそんなにいいのだろう。

「ね、蜜蜂くん」

「いや僕に訊かれても」

皆を集めて真ん中に先輩で皆が周りを囲んで聞いている状態の私達年少組は一番隅っこで体育座りをしてもう早くおわんないかなと話していた。

「色々あんだけどよぉ、まず名高い骨董氏が灼きあげた茶器だろ、置物が数個あんだけどその内の一個がやべーのなんのってやべーんだよ」

「勿体ぶらんで見せたらどうじゃ」

「気になるわよねぇ、てか蝙蝠ちゃんそんなん買ってどうするのよ?」

まぁ確かに。先輩が買ったってお茶を点てるでもない。

「えー、分かってねぇな。もっと高く売んに決まってんじゃん」

あー、成る程。
それなら納得する、その黒々とした目を輝かせて幾らで売れっかなあーときゃはきゃはしている先輩を体育座りをしている膝に頭を乗せて見る。

「蟷螂殿とか詳しそうじゃね、そういうの」

「いや、そこまで詳しくない」

「へー、意外だな!蟷螂殿そういう所とかぶらぶら行ってるイメージだったわ」

君んとこ仲いいね、そう顔を横に向けて言えば頬を染めて「え?ええ、まぁ」と照れながらいう物だからなんかムカついて肩パンを喰らわした。

「痛い!な、何するんですかぁ…」

「違うもん!別にいーなとか思ってないもん!」

くっそー、くっそーと悔しがりながら話が止まない蝙蝠先輩を涙目で睨む。
やっぱり年長は年長で話が合うわけで、わたしなんかはまったく骨董品の知識なんてないしただ話を聞くだけ、なんかやっぱ寂しい。

蜜蜂くんとは反対側のわたしの隣に座る白鷺さんを上目で見れば…

「…寝てるし」

「よるてき起」

「わっ!狸寝入りの術ですね!凄いです、わかんなかったです」

白い目で見てくる鳥組の先輩に冗談ですよと苦笑いで帰せば「ろだいなんまつ」と一言。しんみりと蜜蜂くんと白鷺さんを尊敬する眼差してぼやあっと見てれば話は終わっていたみたいで皆がバラバラと解散して行く。

「蜜蜂くん解散だって」

「うん、やっとだね」

そうぺちゃくちゃしてれば蜜蜂くんのお迎えが直ぐに来て蝶蝶さんと蟷螂さんに私の友人が連れてかれてしまった。あーあ、虫組ほんと仲良いなとボヤきながら解散の中まだいた蝙蝠さんを見れば目がカチリと合いにやりと笑われた。

「……なんすか」

「別にー、お前が一人で寂しそうにぴぃぴぃ泣いてっからよぉ。可哀想だなと哀れんでやってんだよ、きゃはきゃは!」

この人は…。むぅっと頬をぱんぱんに膨らませて背を向ける。なんなんだこの人は、ぴぃぴぃなんて泣いた覚えもないしそんな泣き方もしないぞ!

「うそうそ、獣組も仲良いのはちげぇねぇだろ?な?」

ズルい。肩を組まれ顔を覗き込む先輩、顔が近くて熱が集まる。こういう事するとすぐに顔が赤くなってしまう事を知っていてこういう事してんだこの人は。

「先輩の馬鹿」

「きゃはきゃは!それが先輩に対する態度かよっ、ほんと俺のお姫様は口が悪いねまったく」

冷やっとした蝙蝠先輩の冷たい指が唇を撫でる。「悪い口は塞いじまわねぇとな」と言って柔らかい感触が唇に伝わる。深く伸ばされた舌に何かザリザリしたものが混じっている。

「もしかして、先輩」

皆と話していた先輩も今も手ぶらだ。
まさか、とは思いつつも先輩の袖を引き疑問に思っている事を口にする。

「ねぇ、先輩」

「ん?何だよ続きなら帰ってから「違います」」

「ねぇ、骨董品どこにあるの先輩」

「え、ここだけど」

「ここって?」


「…ぅぅおぅぇぇ…ほらよ」


うわ、やっぱりな。皆が早々解散になったのはコレだ。蜜蜂くんとだべっていたり白鷺さんを讃えていたりしたからその理由が分からなかったけど、やっと分かった。

その口に手を突っ込み喉を広げて出てきた体液まみれの見るも無残な骨董品達を見る。
きっと海亀さんが早く見してと催促し蝙蝠さんに吐き出させたのだろう。まさか皆がそこから!?と思った訳で。

「そんな茶器で点てたお茶を誰が飲むか」

「汚っ、熱湯消毒しなさいよ今すぐ」

「うげぇ、べちょべちょ」

批難されまくってきっと解散になったのだろう。だけど、持って帰るのに面倒な先輩はまたしまう。そういう事だったのか。

「後これ、別にお前にやろうとか思って買ったんじゃねぇから。あ、この色似合いそうだなとかぜってー思ってねぇから」

そう言って渡された体液にまみれていない、大事そうに布にくるまれていた櫛。
これもきっと骨董市で買ってきたものだ。これを買う時の蝙蝠さんが目に浮かんで顔が綻ぶ。

「ありがとう先輩、大好き」


(でも何でこれだけ腹に入れてないの?)

(いや別に意味なんてねぇよ、割れたら大変だし色があせても嫌だろ。わざわざ包む布も買ったんだ…つーのは全部うそ。み、見んなこっち、もうやんねー返せバカ!)


あとがき

蝙蝠さんは面倒見が良い先輩でいて欲しいサイトの方針。アンケートからいつもきて下さっている方からであろうコメを拝借致しました。喜んで頂けたら幸いです。
うちの蝙蝠さんは、つんデレのたまに抜けている腹黒です。
あーでも蝙蝠さんのちゅうとか舌が長いから凄い上手そうですよね、そういう雰囲気とかになったら上から目線のSになりそう。まじ萌える。失礼しました。
またアンケート面白い設定のものは抜粋させて頂きます。よろしくお願いします。

楽しく書かせて頂きました、わたしも蝙蝠さん大好きです(^ω^)!!
(comment*☆.)


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