■ 私、就職します!(不忍)*肯定姫さま絵
※肯定姫さま絵拝借。
(いつも仲良くさせて頂いてます肯定姫さまから頂戴したイラストから書かせて頂きました)
*イメージ画像
め、面接とやらはなんでこんなにも緊張するのかしら。私がこのお城に仕える事が出来る忍の面接の権利を得ただけでも至極光栄なことだしもしも受からなくたって別に、ううん、面接受けるなら受かるつもりで頑張らなくちゃ。が、頑張れ、わたし!
面接の時を迎え私はごくりと喉を鳴らすのだ。
「はい、ごうかぁーく」
「え?」
「右衛門左衛門とりあえず書類お願いねぇ」
私は何十名と行列のある面接を途中でぶった切るようにして合格を得た。後ろの不忍と書かれたお面をしている男性が他の面接者を帰しているのを唖然と見ていれば姫様が近寄ってくる。
「うんうん、やっぱり可愛いわあ」
「ひ、否定姫さま」
「いい感じね、じゃあ明日はこれを付けて出勤よろしく〜」
受け取ったものは先程の男性が付けていた物と同じ面であった。ああ、あれは姫様に仕える者が付ける面なのだと納得する。
しかし、"天使"と書いてあるけれど…
「遅刻するなよ」
「は!はひっ!」
いきなり後ろから声を掛けられて変な声を上げてしまった。振り向けば気になっていた男性が立っていた。背が高く面から見える鼻や口、輪郭が整っていることからして顔立ちもよいこれは三拍子揃った人だ、やはり姫様に仕える人と言うのは見た目からして違う…それに比べ私はと少し肩を落とす。
「何にしろ合格は合格だ。これから俺が上司としてお前の上に立つ」
「よ、よろしくお願いします!」
「姫様の決め事とはいえ、仕えるのだからお前も使える忍になるんだ。明日から…しごくぞ」
「ひぃっ!は、はいっ!」
その時は泣きそうになったけれど今になれば良い思い出だ。左右田さんは見かけに寄らずとても面倒見のよい優しいお方だったし、姫様も私をよく隣に置いて下さる。あの時、しっかりと面接を受けていて良かった。
あ、そうだ!
今日は姫様から新しい仕事着を渡されていたのだった。着替えないとっ。
いそいそと広げたその服は見たことのある…うんこれ左右田さんとお揃いの洋服だ。姫様…。でも、左右田さんびっくりするだろうなぁと思いながら満更でもなく着替え、最後に面を頭に付けた。
「あらあらあら、完璧よ!」
「そうですか!左右田さん、びっくりして下さいますかねぇ?」
「ぷぷ、どうかしらぁ。もうすぐ戻ってくる筈だけど…」
その時、いつも通り屋根裏から左右田さんの姫様を呼ぶ声が聞こえた。ふふっと頬が緩んでしまう。
「右衛門左衛門、降りてらっしゃいな」
「……は」
そう軽く返事をして降りてきて私を見た左右田さんは固まってしまった。お、驚いていないのだろうか。逆に遊んでいるなとおこられてしまうだろうか。
「なっ、お、な…」
(なっ、お前何をやってるんだと言いたい)
「ぶふーッ、予想以上でお腹いたいわあ!」
え?え?と姫様と左右田さんを交互に見る。姫様はひゃーひひひひっと床をドンドンと叩きながらお腹を抑えて笑っておられるし左右田さんはよろよろと後ろに下がってしまっている。
「左右田さんっ!どうですか?姫様から頂きましたっ!お揃いです!」
少し恥ずかしいながらもいつもお世話になっている上司に笑顔で服装を見せる。
「あ、ああ…」
「ええ?それだけぇ?右衛門左衛門つまらなーい」
「い、いえ!姫様…私が似合ってないんです、左右田さんが悪いんじゃありません…」
「あらら部下にここまで言わせちゃうの〜上司のくせに」と姫様が扇で口元を隠しながら震えている。そろりと左右田さんを見れば一瞬面の中の目とあった気がした。それは勘違いではなくて、ふいと逸らされる。
「似合ってる…」
ぽんと頭に手を置かれる。その手は大きくて父上を思い出した。ふふふっと笑って喜べば左右田さんは直ぐに手を放して顔を背けるけれどその横顔は少し赤く染まっていた。
「くくくっ、ぷっ!あーはっはっは!!」
「姫様…お戯れもほどほどに……」
姫様が左右田さんを困らせるそんな穏やかな日常の風景を私は部屋の隅に待機し、にこにこと眺めている。そんな毎日が私は大好きです。
この時はまだ知らない恋というものを知る部下のお話に「
つづく」。
あとがき
皆様ここまでお付き合い頂きありがとうございました。素敵なイラストのおかげ様でもう必死に悶える身体を落ち着かせながら書き終えました。いつも仲良くさせて頂いている肯定姫さまのイラストの夢主のホクロがたまらんです!!後、天使面…くそう、左右田さん場所変わって下さい。そしてこの話には続きがあります。元のところ肯定姫さまのフリリクから初まりまして、そのイラストを頂いたら就職したところから書きてぇぇって事でその欲を吐き出させて貰った訳でございますね。笑
ありがとうございました(^ω^)
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