■ 悪酔い禁止!(蜜蜂)


この惨状はなんだ。

みんな呑みすぎではないか?

みんながこの時代のお酒が呑みたいと言ったものだから箱買いして置いたのだが見事に冷蔵庫の横で空っぽになっている。いやそれよりも私が大切に毎日ちびちび呑んでいた高級な芋焼酎がない。

「わたしの芋焼酎がない」

バッ!見やるととふはははははと笑ってドンチャンしている蝶蝶さんの片手にはしっかりと私の芋焼酎の瓶が握られていた。

ドタドタと駆け寄りぶんどる。

「花子!おかえり〜、俺等、酒すげぇ強えの!みろこれ!」

ででーんと両手を広げた先には口の開いた缶が何十本も転がっていた。お前等ちゃんとこの人を見てろって言ったよなぁと保護者の二人を見る、いや、睨む。

「花子さぁん、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」

「…………悪い」

蜜蜂くんは顔を赤くして涙目でおでこをガンガンと床にぶつけ謝っているから本当に悪いと思っているのだろうが、お前はなんだ。蟷螂さんは私の芋焼酎が入っているのだろうコップをちびちび口に運びながら謝罪した。

「はいはい凄いね、もう蝶蝶さんはこれでも呑んでてよ!」

私は仕事の帰り掛けに買った酎ハイを渡す。

私も缶の口を開けてぐびっと一口呑み、一息吐くとまた隣でギャーギャー言っている。

「蜜蜂てめぇ、呑んでんのか?先輩の酒が呑めねぇなんて言わねぇよなあ?」

「うわぁ!本当もう無理なんですってばぁ、花子さん助け…」

手に持っていた酒をグイーっと一気に煽られ呑まされる蜜蜂くん。ああ、可哀想に。だが、蝶蝶さんに酒を呑ませてセーブさせない君が悪い。私はそれを無視して録画していたドラマをつけた。


「俺が先に政治を見ていたのに」

蟷螂さんは、最初はぶすっとしていたもののすぐにドラマに釘付けになった。そりゃ、ずっといっしょに見ていたのだから当然か。



「終わった…いっつも気になる所で終わるんだよなぁーって…皆寝ちゃった?」

蟷螂さんは机の上に伏せて寝ているし、蝶蝶さんは地べたに倒れている。蜜蜂くんは一瞬起きているのかと思ったが俯いて動かない所を見ると寝ているのだろう。

私はしょうがないなぁと呟き、机の上や床に散乱した缶を片付けようと手を伸ばすと横からひょいと取られた。
やはり、起きていたのか。


「僕も、手伝います」

二人でビニール袋にポイポイと放りやっと部屋が見れるものになってきたなとふたりで笑った。
私がキッチンで水を使っていると缶の入った袋を二つ三つ提げている蜜蜂くんがやってきた。

「だいたい終わったね」

「そうですねぇ、蝶蝶さん達あんなに呑んだら朝まで起きませんよ」

そう言うと、蜜蜂くんはうふふふと笑い私の横にピタリとくっ付いた。

「花子さんってえ、ほんと優しくて可愛くて柔らかくて良い匂いがして、可愛いですよねぇ」

え?誰この人。蜜蜂くん、こんな性格じゃなかったよな。しかも可愛い二回言ったよ、大事なことだから二回とかそういう事じゃない、完全だ。

「ちょっ、すりすりしないでよっ」

完全に酔っている。あんなに呑んでいるのに酔いつぶれないでこの性格の変わりよう…悪酔いの代表だ。

そうこうしている内に、後ろから手が回ってきて抱きしめられた。蜜蜂くんの顔が横にあるのが分かる。

「ちょっ…そこは駄目だってば」

蜜蜂くんは私の首に唇を寄せ舌を這わせる。

「んっ…やだ…」

そう言うと私の耳もとで囁いた。


「僕たち忍は卑怯、卑劣が売りですから」


ひょいっと私の昔からの夢であったお姫様抱っこをしてるんるんと走り出す。寝室のドアを開け、ボスっとベットに落とされ上に覆い被ってくる蜜蜂くんはこんなにも大きかっただろうか。

「ねぇ、花子さん。僕の事好きですか?」


好きですよね、そう言って唇を合わせてくる蜜蜂くんはいつもよりも積極的な仕草に不覚にもドキドキしていた。深く深く舌が絡み、唾液が送り込まれる。

アルコールの匂いにこっちまでくらくらしてきてしまう。

「ふふ、花子さん凄いエッチな顔をしてます、本当我慢にも程がある、今日は最後までさせて下さいね」

「あっ…でも…んんっ」

忙しなく服を捲り上げ胸の突起を口に含む蜜蜂くんの肩をその快感に耐えるように掴むと、ふと顔を上げる。

「花子さんだってもう我慢出来ないですよね、ほら」

摩られたそこはもうとぼける事の出来ないほどに濡れていて、私は顔を赤くして頷くしかできなかった。

もう、お酒は買って来ないんだからな。



_____________


「ふぅ、花子さんてばベットの中では本当素直で可愛いですよね、普段ももちろん可愛いですけど」

行為が終わりクタクタの私の身なりを整えてくれると、水を持ってきたり普通に話している蜜蜂に冷や汗をかく。

「え、もしかして」

「ええ、酔っていませんよ?顔は赤くなりますけどさして酒に弱い訳ではないんです、むしろ酔ったフリはしますけど酔った事はありませんね、ふふふ」

だって、酔ったフリすれば呑まされる事もないし色々得でしょうと笑うこの子はあの二人よりも一枚上手だ。

このふふふと笑いながらキスしてくる男の黒さに少し眩暈がした。






-あとがき-

小太郎さんから現パロの蜜蜂リクエスト!
酔った蜜蜂が夢主に絡んでしまい(甘々+微々裏位)な感じのが読んでみたいとの事でしたので、書かせて頂きましたがいかがでしょうか?連載の居候の夢主でおおくりしました(^ω^)

2013.06.28
(comment*☆.)


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