■ 赤い幻想を拭えば。(蟷螂)
「蟷螂さんてば、無視ですか」
ねぇねぇ、この期に及んで無視ですか、え?虫なだけに無視ってダジャレですか?あはは、蟷螂さんって意外にそういうタイプなんですか。なんて、つらつらつらつら言葉を並べる部下のこの女には苛つきしか感じない。
私はそこまで話をする方ではないし、出来れば蝶蝶のような性格の者の方が私の性格には合っているとは思うのだが、この女は別だ。
「面白くないです、蟷螂さん」
「帰るぞ」
「えー、えー、帰るんですか?まぁ、任務終わりましたしねぇ」
うーんと首を傾げる血塗れの女はマイペースこの上ない。
攻撃に特化している部隊を率いて出てみれば汚れる、という事を省みず所々に血を付けてはヘラヘラ笑う。
「あ、じゃあこんなのどうです…え」
と思えばいきなり身振り手振り話すのを止めた、如何したと言うのか。
ああ、そうか。
「はわわわ、蟷螂さん、何を」
「いつもお前には血がついている」
女ならば少しは身嗜みに気をつけてはどうだ、と懐から出した布で頬を拭くと顔を赤くして慌て出す。花子はいつもの余裕の表情を崩して慌てる素振りは見ていて実に滑稽で口元が緩んだ。
「あ、あ、あ、すいませ」
「帰るぞ」
「はい…」
いつものストレスを発散させるにはこうしたら良いのか言う事も大人しくなると思いながらくつくつと喉を鳴らしてチラリと花子を見る。
「……あ」
顔を真っ赤にさせ少しうつむく少女の様な純粋無垢な彼女の姿に不覚にも心臓がその感情を気づかせるには充分なほど大きく鼓動した。
まさか、こんな女に。
「い、行くぞ!」
ああ、ああ。そうだ。
俺が苛ついていたのはいつもコイツが同僚の男共と楽し気に談笑している時、虫組頭領等他二人とじゃれ付いている時、そして。
ふともう一度振り返る。
お前がそういう顔をしている時だ。
誰の事を考えその顔をしているのか、させられているのかそれだけでむしゃくしゃする。
俺らしくもない。
「お前の想い人は誰だ」
と、頭領として心配して聞いているのだ!と声を張り上げる。
「任務に支障が出てからでは遅いだろうが、俺が…」
「蟷螂さんです」
「は?」
「蟷螂さんです」
手を掴まれた瞬間にビビビと背中に走ったのは悪寒でも静電気でもない。それを知るのはただ一人、自分だけ。
_____________
"おい、最近花子の姿が見えないが"
"花子さんなら最近、鳥組の鴛鴦さんに弟子入りしたとかなんとかで"
またも背中に何かが走ったのは俺しか知らない。
誰かに悟らせもしない、それが忍者!!
すいませーん、ぜんざいひとつ。
もう初蟷螂さんに戸惑いの嵐でございました。アンケートにて私が書く蟷螂さんを見たいとの事でしたので一筆。
うまく掴めたか分かりませんがアニメを振り返り虫組熱が上がったのは確か(笑)この夢を蟷螂さんに投票して下さった貴方にプレゼントフォー・ユー!またリベンジさせて下さい…お粗末様でした( ´ ▽ ` )
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