可愛い嫉妬の仕方。



「ああっ…先輩、先輩…」

そう、そうやって私を求めて。
もっともっと。

「あっ…あっ…」

中に入る異物を感じながら私は厭らしく声をあげる。彼の汗が胸にポタリと落ち、吐息を漏らす彼と目が合い口を開けると、煩いですと唇を塞がれる。

「ん…ふぅっ…」

深く深く舌で口内を弄られ、下半身はずんずんと奥を突かれてもう何も考えられない。

私が何をしたと言うのだろうか。



思い返せば30分前、部活が終わり彼の家に来たわけだがいきなり押し倒され唇を塞がれた。

そして今に至るわけだが…

眉を潜め限界を耐える鳳の顔に手を伸ばし頬に触れる。

「ちょた…も、私も限界…」

ぐっと何かを耐える様に動きを止める長太郎。イってしまえば良かったのに…。

「ズルいです…先輩っ…」

頬に置いた手を取り上げられ布団に縫い付けられる。こんな攻めな長太郎は初めてだ。いつも花子先輩花子先輩、宍戸さん宍戸さんな長太郎はどこへ行ってしまったのだろう。

「ちょた、ちょた。もう…んぁッ!」

律動が再開されて声が跳ね上がる。

「ん、ちょた、ちょたぁっ」

「先輩、気持ち良い?俺も…ねぇ、先輩」

と続ける彼を私は涙が溜まるボヤける視界で見上げる。

まだ、まだ駄目です。
先輩は俺のものだって、先輩に思い知らしめるんですから…。今日は俺が先輩を壊したいんです。

「きゅん!」

漫画やアニメの中の効果音の様に私の胸が鳴ったのは聞き違いではない。

本当に鳴ったのだ。本当だ。





……………………。




今ここで情事を終えた彼が正座をして顔を赤くしているのには事情がある。

まだです、まだですと攻め続けていた彼はやはり限界が近く意地悪に私が唇を犯し腰を動かしてやると簡単に達してしまったのだ。

「すいませんっ、すいませんっ」

こうなった経緯を聞くと、ただ帰り掛けに私がクラスの男に告白をされていたのを目撃してしまったのだと言う。

ああ、だから。

「部活中も何だかムスッとしていたのはそのせい?」

「…そうですよ。先輩のアホ!」

何で俺と付き合ってるっていわないんですかー!3年の先輩達は皆冗談だと思ってるし、俺、俺っ。などとズビズビ鼻を啜っている。


本当に、本当に先輩は俺の事…


何を馬鹿な事を言うのかこの子は。
彼氏がいるとは言ったし、皆が信じないのは私のせいではない。
攻めている時はあんなに大人の顔をしていたのに全然違うじゃないか。

私は耐えられずぎゅーっと抱きつく。
先輩先輩と抱きつき返してくる可愛い長太郎の為なら何時でも何度でも私は言うよ。


「世界で一番大好き」


_____________

(じゃあ、明日から3年の教室に迎えに行きますから学食ご一緒しましょうね!!)

(えー、毎日?)


それから毎日の様に昼休み丁度に長太郎が走ってクラスに来るのが3学年間の噂になったのは言うまでもない。




[ 6/10 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -