よく焼けた背中。


「ねぇ、裕次郎?」

そう言えば、前の大会で会ったあの氷帝の男の人格好良かったねぇと言うと知らねえっとガットを指で整える。
裕次郎と私しかいないこの部屋にギシギシと言う音が響く。

「わたしメアド教えちゃったよ。」

ほら、と携帯画面を向けると固まる彼。長い髪で表情を見る事が出来ない、どんな顔をしているのだろう。

「あ、メール来た。」

と、携帯をいじり床に胡坐をかきベッドに背中を付ける裕次郎をベッドに寝転がり横目で見る。

彼には大会の最中に声を掛けられた。忍足という男なのだが、あのファンクラブが目を見張る程いる氷帝のレギュラーなのだ。関西弁で丸めがねだったが、イケメンは何をしても成り立つのだなと人間の摂理を思い知らされた。

ぴぎゃぁぁぁ、と近くのコートから黄色い声援が聞こえる。別に彼氏もいる訳でもないからと携帯を出した。
チラリと裕次郎を見ると目が合ったが知った事か。

そんなこんなで、今に至るのだが。

「なんて送ろう、ねぇ。」

こいつ、比嘉の情報を!?と警戒は一応しておいたが会話には一切テニス部の事は出て来ないので安心してメールをしているのだが。

「ねぇ、私の好きな食べ物って…」

「花子は…」

やっと声を出した裕次郎は身を乗り出して私に食い掛かってきた。
ちょ、鼻と鼻がくっ付きそうな程近いんですけど、いくらこの小さい島で小さい頃から一緒だったからといっても流石にこれは恥ずかしい。

「花子はその男とメールしてぬーが楽しいんばぁ!?」

な、何をいきなり言うのだ。

今までそんな事、言って来なかったじゃないか。

「聞いてるとムカムカする、わんの前では禁止さ。」

むむむ、と眉にしわ寄せ携帯を持つ私の腕を掴む。わ、わっと顔に熱が集まる。

「あいひゃー、花子の顔真っ赤さぁ。」

なぁ、と真剣な顔をしたと思ったら唇に柔らかいものが押し当てられた。



やっと気づいた。
裕次郎の事が好きだったから、私はこの男にヤキモチを妬いて欲しかったのだ。

目をパリクリさせると裕次郎が指を差してニカッと白い歯を見せ悪戯に笑う。


暑いのはここが、本島だから?



_________

わんがずーっと妬いてたの、気付いてなかった訳じゃないだろ?

「やーはわんのもの。」

とりあえず、削除するさー。


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