このホモ野郎。
ああ、腑(はらわた)が煮えくり返りそうだ。これは、我が3年の教室で広げられている茶番劇なのだが。こいつは私の彼氏ではないのか、坊主の私の友達を悪く言うつもりは全くないのだが…
「小春の何処がええんじゃい」
いや、むしろ優しくて面倒見がよくて私よりも全然魅力的なのでは?
ああ、ああ。小春になりたい。小春になりたい。と机に伏せり、いちゃコラする我が彼氏と坊主を見つめブツブツ呟く。
「花子はええ女やで」
白石、そう言う事ちゃらちゃら抜かすから 彼女が出来んちゃうの?
と言うと厳しいなぁと乾いた笑い声。
「花子、ユウジは浮気モンやなぁ。俺なんかどや、一筋でお前を愛したるで?」
流れ星くん。お前もモテるから嫌や、だったら銀さんがええ。
何処からかやってきた、忍足くんを一刀両断する。
「じゃあ、俺も駄目っすか先輩。」
何故、2年の君がここにいる財前くん。
会話を無視し疑問で返すと音楽の教科書を見せてくる。ああ、移動教室ね。
ユウジの彼女だから存在を許されてるものの、お前等と付き合ったらこの学校のテニス部ファンから排除されてしまうじゃないか。
ガタガタッガタンッ!!
皆してその音に驚き後ろを向くと銀さんの席がとっ散らかり、銀さんの姿はなかった。
皆で席を戻し、定位置に戻る。
ユウジはまだ小春んトコに居て、此方の事など気づいてもいない。
あーあ。
「ユウジなんか嫌いや。」
ピタリと今まで小春を追いかけ回していたユウジが動きを止めた。忍足くんや財前くん傍観に回っていた千歳までもが別れろー、嫌われたーなどと騒いでいる。
「花子、それホンマなん?」
ギギギと音がしそうな程、首をゆっくり此方に向けるユウジは冷や汗タラタラでしてやったりだ。
バーカとそっぽを向くとユウジが駆け寄って来て、机に肘を付き顔を支える私の手を両手で掴んだ。
ビックリした目の椅子に座る私と、床に膝を付くユウジの目が合う。
「俺が女で1番好きなのは花子やって、分かっとるやろ!」
別れるなんて考えんといて。
と許しを必死でこう姿を見ると、私は愛されてるなと顔がにやけてしまう。騙されるな、嘘ついてるでこいつ、と隣から聞こえるが知った事か。
「お前等、花子に次なんか言うたら殺すど。」
私の事で嫉妬し悪態づく彼が、
こんなユウジが私は大好きなのだ。
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「なぁ、白石。今ユウジ女の中ではって言ってたよな…」
「言わん方が花子の為やで。」
なんて会話が頭上で行われていたのは、また2人の世界に行っている花子と一氏には聞こえていない話なのでした。
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