きゅーぴっと阿久津。



「あ…駄目、そんなとこ…」

行き場をなくした手が隆の肩をぐっと掴む。充分に鍛えられた身体が汗ばみ肩に食い込む指、とても卑猥だ。



何故こうなったかと言うと話は放課後に遡る。

私は山吹中三年、山田花子。しかし中学は別であっても私は青春学園三年の河村隆の幼馴染兼彼女。と言う事はまあ阿久津とも幼馴染な訳ですよ。

「阿久津ー、ほんともう駄目、隆が好き過ぎて死んじゃう病」

「てめぇ、授業サボってんじゃねえよ」

阿久津の家でゴロゴロとジャンプを読む私。先生から阿久津を連れて来いと言われていたのだけれど今日発売のジャンプを見つけて今に至る。

なによー、あんただって行ってないじゃないと頬を膨らませれば溜め息を吐かれる。

「あ、今日ご飯食べてっていい?」

ゆきちゃんのご飯が久しぶりに食べたいと言えば断る!とものの数秒で打ちのめされた。

「そんなに河村が好きならよ、河村ん家に寿司食いに行けばいーんじゃねえのか?」

私はそれだ!と顔を上げるが直ぐにボスリと顔を読み掛けのページの上へのせた。

「あー…でも三年になってから隆ちょっとそっけないっていうか、部活忙しくて相手にしてくれないのよねー」

何、青春学園ならぬ青春ってやつ?阿久津は部活本気でやんなくていーの?と聞けばうっせえよと遮られた。はぁ、まぁ隆はその真っ直ぐで頑張り屋な所がいーんだけどさ、阿久津みたいに暇してる隆なんて想像出来ないし。

「……その重てえ尻上げろ、行くぞ」

え?と顔を上げれば立ち上がる阿久津。隅に転がる私専用のヘルメットを投げ玄関に向かった。ギリギリキャッチ、本当いつもいつも危ないやつ!と悪態付きながらも腰を上げて外で単車のエンジンをかける阿久津の後ろによっこらせと腰を下ろした。


「どこいくの?」

「黙ってろ」


風が気持ちいい。もうみんな下校時刻なのだろう、通学路には生徒が沢山いた。私らを見て驚いた顔とヒソヒソ話。大体阿久津の話だろうけど、本当腹立つ。隆はそんな子じゃないし、優しいし、あー隆病きたこれ。


ぶーんとエンジンをふかせて着いた場所に驚愕する。ここここは青春学園ではないか。


「え?」

すると直ぐに下りろというお達しがあり、とりあえず下りるとじゃあなとヘルメットごと私を置いて帰りなすった。

「え!?…ちょ、阿久津!隆は今の時間部活だし私他校生だし…あーくーつー!!!!」

当たり前だが呼んでも帰っては来なかった。代わりに青学の下校の生徒の好奇の目。くっそー…とりあえず校門の前で部活を終わるのを待ってはみたけれど暇だ。

私は青学に潜入する事に決めた。


まぁ、そんなバレても怒られないでしょっという軽い気持ちでだ。うん、難なくテニスコートに来れた。

「えーと、隆はっと…」

コート内をキョロキョロ見回せば、あー!!っと大きな声がして驚き後ろを向くとそこには菊丸くん居てがわっ!わっ!と興奮しながら私の前に小走りで来た。

「花子ちゃんじゃーん!まじ久しぶりだねってか何!?何でこんなとこにいんの?偵察ー?」

テンション高っ。さっきまで阿久津と居たからなかなか君のテンションについてけないよ。私は隆をちょっと見に…と言葉を濁すと更に菊丸くんのテンションを高くてしまった。

「あっ、タカさん!?タカさんに会いに来たの?ってか幼馴染なんだもんねぇ、花子ちゃん!あっ不二不二ー!」

あ、あの青学の何考えてるかわかんない人が来た。いっつも笑ってるしモテるとは思うけど、私は怖いんだよね。

「山田さん、何か用?」

いや、不二くんだけではない。わらわらと周りにはテニス部員が集まって来た。くそう、遠くから見守ってるだけで良かったのに!!

「花子?」

その声は…私はその愛しい声の方を直ぐに振り向いた。やはり隆だ!汗を拭いながら此方へ歩いてくる。

私は満面の笑みで抱きついた。

「会いたかったよ、隆ー!」

「うわわっ!花子、みんなが見てるよ!」

もう耳まで真っ赤にしちゃって可愛いんだから、とりあえず会えた事に安心していると氷の様な声に背筋が凍る。

「グラウンド10周…」

ぎゃああああ、その声は…青学の部長…私はこの日初めて青学のグラウンドを走った。この山吹の制服で、それはそれは異様な光景だっただろう。


その後はベンチへ倒れこんだ。部長には何も言わせない走ったんだから。そして部活が終わるまでそこに居座った。もう、スカートの中身を誰かに覗かれようと構わない。私は寝る。

そして、私は目を瞑った。


「花子、花子…」

私を呼ぶ声がする。
その声に目を開けると制服に着替えた隆が夕焼けをバックに立っていた。

「隆、お疲れさま…」

「ごめんね、待たせちゃって。さぁ、帰ろうか」

あれ?皆はと言うと、唇に人差し指を立てて笑う。急いで着替えて来た、と。
今日は俺ん家で飯食うんだろと手を差し出してくる隆に胸が苦しくなった。私はその手をぎゅうっと握り返し、グラウンドを抜けた。


「隆、阿久津が送ってくれたの」

ぽてぽてと歩きながらそう言うと、メールを見せてくれた。阿久津は隆に"たまには一緒に居てやれ"と送ってくれていたようだ。

「今日は俺とずっと一緒に居ようね」

うわ、涙が溜まる。


家に行くと隆っちおじさんに久しぶりい!ゆっくりして来なよっと粋な声を掛けられた。
いつ来てもここは江戸前だなと雰囲気に浸りながらもリビングで河村父が店で握った寿司を頂いた。美味しいね、美味しいねと隆に言えば喜び風呂を浴びに行った。


頭を雑にタオルで拭きながら私の隣に腰を下ろす。


「花子も入れば?汗かいたでしょ?」

苦笑いをする隆。そうだった、グラウンドを走らされたしね、私はじゃあ借りると腰を上げれば俺、部屋でゲームしてるからと階段を登って行った。

シャワーを浴びる私。何やってんだろと笑ってしまった。青学まで隆を追って来てバカみたいだなぁ、浴びて制服の代わりに隆が貸してくれたTシャツに袖を通す。

部屋の扉を開け中にはいればテレビゲームをやる隆が此方を向いておかえりと言った。

適当に腰を下ろせば手持無沙汰な私は隆のゲームしているのを見ていたがそれも飽きてきた。こんなHな格好でいるのに何故気にも留めないのだ隆よ。

私はいらいらして隆と名前を呼んだ、振り向く隆にチラリとTシャツを捲る。腹をチラリと見せてやればゴクリと喉仏が上下するのが見てとれた。あー、厭らしい。

「隆、私ね隆とずっと会えなくって凄い寂しかったよ、隆は寂しくなかった?」

いや、あの…花子とりあえず服をと戻そうとする手を無理やり中に入れた。

「触って、隆としたいの」

「ちょっ、花子…これ以上は本当もう止まれなくなるから…」

胸に手を置けば、隆の目と合う。
ぎらりと光るその目にどきりと胸が高鳴った。私はしたいと言っているのに…

私が隆の胸に飛び込めば噛み付くようなキスをされる。あー、幸せ。だけど…激しすぎる、息が。

「っん、ふ…った、隆っ」

どうにか身体を話して名前を呼べば私を見下ろす隆はTシャツを脱ぎ捨て覆いかぶさった。もう止められないから覚悟してねと耳元で言われればそれだけで変な声が出そうになり私はそれを飲み込む。

しかし耳を甘噛みされたり舐められればそれはあっけなく口から漏れてしまってもう止められそうになかった。

「んっ、あっ…〜っ!駄目、そんなとこ」

胸の先端を触れた瞬間に走る電流みたいなものに背中を反らせる。口に含んだり、噛んだり舌でぐりぐりされたり、胸だけでどうにかなってしまいそう。…なんて嘘、本当はもう下を触って欲しくてしょうがない。

「…花子、もじもじさせてどうしたの?もう触って欲しい…とか?」

ああ、隆には直ぐにバレてしまう。いや私が早くして欲しくてワザと分かるようにしてしまっているのかもしれない。私は息も絶え絶えに早く触って…と言えば下着の上からなぞられる。

くちゅ…

嫌だ…音が鳴っちゃ…

「こんなに濡らしてずっと我慢させちゃってたんだもんね、花子…」

気持ちよくしてあげるね、と下着を剥がれ中に指が入る。

「あっ!…んっぁん!」

ぐちゅぐちゅ中を擦られかき混ぜられれば身体がビクビクと震え頭が真っ白になる。

「隆ぃ…隆っ…んん!」

すがりよるように首に手を回しキスをねだれば直ぐに深く舌が絡んできて…

しかし直ぐに指を抜かれたかと思えばずぶりと質量感のある隆自身が埋められ奥にそれが当たる。

「ひっん!っ…あっ、ん」

ずっと求めていたものが入ってきて気持ち良さに私は声をあげた。

ずちゅん、ずちゅんと音を出しながら出し入れされれば気持ち良過ぎて身体を捩る私を抱きしめ更に奥へ奥へ当てられる。

「し…たか、隆…んっ!〜ッ」

もう気持ちよ過ぎて何も考えられない、その気持ちいい行為に私も只々腰を振った。しかし絶頂が近づき余裕がなくなってくる。息も絶え絶えだ。




「っぁ〜あ、あぁっ!も、駄目ッ、これ以上は、隆ぃ」

「…っ俺ももう出そうだよ…だけど…俺に感じてる花子が可愛過ぎて出すのが勿体無いと思っちゃうんだ」



隆は眉を潜め私を強く抱くと激しく腰を打ち付け私が身体を震わせ達っしたあとに欲を外へ吐き出した。






ぴんぽん!

ピンポンピンポンピンポンピンポン!

なんだこの呼び鈴の連打は。
いや、こんな事をするのはアイツしかいないんだけど。時計を見る。

「わっ!もうこんな時間!ごめん隆、また連絡するから」

服を整え玄関に向かい、開ければ阿久津が煙草をふかし機嫌が悪そうに立っている。

「てめぇ、携帯見てねぇだろ。迎えに来ねえと帰れねえくせに、調子のんじゃねぇぞ」

携帯を取り出せば大量の着信やメール。
うわーごめん!ごめん!と頭を下げていれば玄関から隆が顔を出す。

「やっぱり阿久津か、今日はありがとう」

阿久津はふんと鼻を鳴らし顔を背ける。

「ゆっくり出来たのかよ」




その優しいけどツンケンした言葉に隆と私は顔を見合わせて笑った。やっぱり幼馴染、私は隆も阿久津も大好きだ。

そして私はバイクに跨がり、隆の家を後にする。


「阿久津、今日はありがとね!」

「ああ?エンジン音が煩くて聞こえねえ」








長くなりまして申し訳ありません。
そして、ここまで見て頂きありがとうございます!楽しく書かせて頂きました(^o^)
琥珀さんからリクエスト頂きました、タカさんの甘裏、幼馴染設定でございます。

如何でしたでしょうか?うちの阿久津が出しゃばってすみませんでした。

2013.07.30



[ 10/10 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -