■ 07話/先生こんにちわ。
「今日から食堂のお姐さんとしておばちゃんのお手伝いをしてもらう、花子さんじゃ!」
学園長先生が紹介する先には黒い忍び装束を纏った若い方から渋いおじさま方までがズラリと並んでいた。
「ん?一人足りないようじゃが。」
あっ、出張だった手を合わせた。
一人いないのか、どんな方だろうと思いながら紹介に続きよろしくお願いします、とあたしもお辞儀をする。皆さんもよろしくと口々に挨拶をしてくれた。
しかし中にはこんな方も。
「しかし学園長先生、花房が連れて来たと学園内では噂になっておりますが」
ああ、だからここに来るまででも酷く視線が注がれていたのか、なるほどこれで納得した。花房めあたしの第一印象、ズタボロじゃないか…
「確かに相違ないが」
カクカクシカジカでとここにお世話になる迄の経緯を話すと、皆さん哀れみの眼差しをくれる。
そうなんです、そうなんですよ。とホロリ涙を零しそうになった。一瞬であったが凄い衝撃を受けたのだから。
右から土井先生、山田先生、日向先生と名前を言って紹介してくれるが、直ぐには覚えられそうになかった。
しかし…あの土井先生は覚えたぞ、イケメン過ぎて直視できない。
「という訳で、皆よろしく頼むぞ」
その言葉と共に返事をして皆ぞろぞろと食堂を後にしていく。
「ふぅ…」
一息ついた私をおばちゃんが横から大丈夫よ、皆良くしてくれるわと背中を撫でてくれた。
や、優し過ぎます、おば、おば
「やだ、泣く事ないじゃない!」
優しさに慣れてない私は優しくされるのは苦手のようだ、すぐに泣いてしまう。
その横を黒い忍装が通り過ぎたが、その時私は涙であまり見えていなかった。
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静かだったあたしの日常が、この時この瞬間をもって変わり始めたのであった。
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