■ 06話/自室へご案内。
「ここがあたしの部屋」
ヘムヘムという二足歩行の犬に連れてこられた部屋は1人で住むには申し分ないが、家具は一切置かれておらず、ガランとした雰囲気だった。
「ヘムヘム!ヘーム!」
皆、普通に喋っていたが何を言っているのか分かるのか?あたしにはサッパリなんだけど。身振りそぶりで何となく察しろとそういう事なのだろうか。
ヘムヘムと一緒の身振りを真似して見る、旗から見たら何だこいつって感じだ。
「ヘムヘム!ヘーム!」
「ここで、寝て、明日には出てけ?」
え、ひどいなと言えばブンブンと首を横に振るヘムヘム。
「ここが、あたしの部屋。ああ!荷物の整理が終わったら食堂に来いね、」
「ヘム!」
やっと伝わった事にホッとしヘムヘムはじゃ、と手を上げ帰って行った。物凄い犬だ。きっとあたしなんかよりも、めちゃくちゃ頭が良いんだろうなと考えながら部屋に入り荷物の整理をと思ったが…
「荷物っていっても何にもない」
本当に何もない。
寧ろ、お金もないし持って来た物と言えばこの身一つだ。
ああ、今度 一回家に帰って色々持って来ようと呟いた。
「よいしょ…」
やる事がないあたしは立ち上がり食堂へむかった。
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誰かの為にご飯を作れるなんて幸せだ。
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