■ 26話/思わぬ所で。
「父上、嫁にしたい子を見つけましたよ」
その頃。
「ええー!なんじゃこの饅頭はっ!!」
頭を下げるしかありません。ごめんなさい。利吉くんを殴ろうと振り回したと正直に言ったら許してくれた。しかし利吉くんとそんなに仲良くなっているとは知らなんだと微笑まれても…あたし何も言えないんですが。
「へームヘムヘムっ!」
「え、ヘムヘム先輩まで!」
部屋を出ようと腰を上げ袖からお金が余ったと渡せば、銭を出し二人して唖然としている。
「何じゃお主、殆ど使っとらんじゃないか」
「ヘム!」
あー、そういえば何も買っていない。
ヘムヘムにまでガミガミ…いやヘムヘム…この場合なんと表記すればいいのか。ああ、お説教されてしまう始末だ。
すいませんと俯いていれば学園長先生がまたその袋を渡して来たので焦って返す。
「いえっ、さして買いたいという物も無かったのです。だから…」
「これはまたの休みのお駄賃じゃ」
次の休み…と呟けば次は何をお願いしようかのうヘムヘムと二人でうふふ笑っていた。
ほんと…申し訳ない。
ちゃんと働いてこの恩を返さなければ。
「ありがとうございます」
花子が来てまたこの学園が賑やかになったわい、此方こそお礼を言わねばならんくらいじゃと涙が潤むような事を言うから落ちないように上を向いて退出した。
う、うう…乾け、乾けえ…。
「そんなおめかしして何処に行っていたんだ」
(何故お前に今会わねばならない鉢屋)
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