■ 01話/只今、真っ白け。
ねぇ、皆ならどうする?
いやいや、もう色んな人に質問して回る時間などない。あたしの生活が今終わったのだ、ああ餓死か首吊りか。痛いのはヤダなぁ。
山田 花子 16歳 独身。
今日をもってこの世からさよならでございます。
とりあえず、こいつ殺そう。
あたしの前には野菜台を割り、ぶち撒いて突っ伏している小さいお侍がいる。
何でこうなった…。
この台の上に置いてあった野菜を売らねばあたしは一文無しだ。次に植える種も買えなければ、肥料も買えない。
故に今日あたしは何もかも失ったと言う事になる。頭真っ白とはこの事だ。
町の人からは丹精込めて育てていた野菜を気に入って貰っていた。むしろ、積極的に買いに来てくれていたくらいで、その生活は身を削り大変ではあったが幸せだった。
なのに、なのに。
ボロボロと涙が溢れる。
お侍の胸ぐらを掴み気が狂ったように揺らし起こした、とりあえず弁償させるためだ。金は何処にあるの?何処にあんだよ。
懐からでてきた銭袋は儚く何も音を出さずに地に落ちた。
「て、てめぇ起きなよ、起きなってぇえ!!」
後ろからやっと見つけたと、この道の角を曲がった所のうどん屋のオジさんがやれやれと息を荒げやってきた。
「お、オジさん…」
顔馴染みの人に会い更に涙が溢れ出す。こんなに涙脆く無かった筈なのだけれど…。
ああ、そうだ。泣いたのは両親が他界して1人になった日の夜くらいだ。
「おやおや、これは…」
_____________
うちの店もやられてねぇ。
食い逃げだよ。
それを聞いたあたしは更に発狂した。イコール本当に金持ってないのかよ、嘘でしょ!?
「起きろ!起きろぉぉお!!てめぇ生きて帰さねえ!!ですよね、オジさん!!」
とりあえず、落ち着こうかと言われたがビンタする手が止められない。
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