■ 13話/きた初恋、これ初恋。
私は、結構な人数を捌いたなーと疎らに座る生徒や先生方を見ながら一息ついていた。
キザに食べるあの眼鏡の先生も意外とイケメ…いやいや。やはり、土井先生には全然かなわない。しかし、この学園は所謂ハーレムと言う奴ではないのか?男ばかりの園でしかも世間から見たら七松さんやら上級生だって格好が良いはず。
「ねぇ、おばちゃん。よくこの職場、今まで女性付かなかったね」
よく考えてみれば、こんな職場女性にとってみれば天国じゃないか。まぁ、私みたいな今まで恋愛など望んでいない女には普通の職場なのだけれど。
「ふふふ、花子ちゃんみたいな子はなかなか志望して来てくれないのよ」
「?」
どういう意味だろうか。確かに私みたいな女は来ないだろうけど。頭にハテナを浮かべていると肩をトントンと叩かれた。
七松では無い。何故ならば、こんな繊細な叩き方は絶対にしないからだ。じゃあ、誰?
「こんばんは」
ふと、振り返る。
ああああああ、どどど土井先生だあああ。
爽やかに笑ってらっしゃる。
どうしよう、どうしよう。やはり私はミーハーだ。他の女と同じだったあああ。
「時間、間に合いましたか」
平然、平然を装え。こんなんが毎日続いたら身が持たないじゃないか。そうだ、彼はカボチャだ。
「ええ、大丈夫です。遅かったんですね」
ん?しかし、先生のクラスの子達は一番早く食事を取らなかったか?
「実はテストの採点に手間取りまして」
私が考えている事に気が付いたのか胃を押さえながら溜め息を付きそう教えてくれた。
「胃、痛むんですか?」
「もう癖になっていますから、気になさらないで下さい」
あはは、バレてしまいましたかと笑うカボチャにときめいたりなどしていない、決して。
「大変なんですね、あのっ」
「私で良ければ話いつでも聞きますからっ」
ひぇっ、差し出がましいことしただろうか。思い切って言い切ってしまったが、今更後悔した。私は少し様子を伺いながら土井先生を見上げる。
「ありがとうございます」
見上げると先生は少し頬を染めて、私に笑いかけてくれた。い、言って良かった。こんな笑顔を見られて私は幸せだ。心臓が、やかましい。
これが、恋?
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奥で休んでいたおばちゃんが此方を微笑みながら向いている。やめ、やめよ、おばちゃん。私のお嫁先ばかり気にしているおばちゃんの行動に私は嫌な予感しかしなかった。
「土井先生。そういえば、花子ちゃんなんてどうかしら?こんなに可愛くて性格が良い娘なかなかいないわよー?」
よ、よ、余計な事を言わないで下さいよ、おばちゃぁぁあん。顔から火が出た。
お互いに。
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