■ 10話/早速、突っかかられた。
や、やばい、夕食時がきたー!!
どどどどうしようと焦っていると、盛り付けも終わってるし、あとは渡すだけだからとおばちゃんがどちらの定食にするのか聞いてきて頂戴とあたしの背を押した。
「大丈夫よ、もう友達も出来たでしょう」
「あ、あれは…」
友達というかなんというか、とどもっていると早く終わった下級生が入ってきた。
「あー、お姐さん!」
「あ、さっきの土井先生のクラスの」
右から乱太郎、しんべえ、きり丸と言うとおおーと驚かれた。
「わぁ、私達の名前覚えていてくれた!」
「お腹すいたー」
「意外に要領良いんすね」
「君たち個性が強いんだよ、まだ皆完璧に覚えてないから皆がここの生徒達の事たまに教えてよ」
と言えば元気な声ではーい!と返される。まったく良い子達ばかりだなぁと胸がポカポカした。
「AとBどちらにする?」
「私、Aで!」
「僕、B!」
「じゃー俺は、乱太郎と同じやつ」
はい、はいと渡して行くと席に着きご飯を食べ始めた。こういう仕事も悪くないなと美味しそうに食べる子供達を眺めていた。
「こんばんわー」
ぞろぞろと中に入ってくる忍装束は色んな色をしていたが、身長で辛うじて何年だろうなーと分かった。
無視をしないで受け取ってくれる所から見ると意外と大丈夫なのかもしれない。
「いらねぇよ」とか「は?」とか言われたらどうしようかと思っていた。
個性的な子達ばかりで見ていて飽きない、そんな学園だ。
暗い子達もいれば、学園のアイドルやら、汗だくで迷子になりながら食堂に到着する子達もいて実に面白い。
「B定食」
はいはい、と笑顔で渡すとその顔を見て固まってしまった。何故なら、同じ顔が真顔で此方を見ていたから。
「ふ、双子なのかな?」
「あんたには関係ない」
なっ、と言葉をつまらせると隣の同じ顔がすいませんと謝る。性格は真逆なのだろうか双子のくせに、双子だから?と考えていると目つきが悪い方が話出した。
「あんた、何処の刺客だ?」
「は?」
ちょっと三郎っと優しい方の顔が止めにはいるが、三郎という奴には聞こえていないらしい。何年生だよこいつ大人げないな。
「おかしいだろう、おばちゃんが町で知り合ったからと言ってそれが罠ではないという可能性はない」
「……で、なに定食でしたっけ」
無視を決め込むと都合が悪い話は無視か?と更に突っかかってくる、もう何こいつ面倒臭いなぁ。
もう、無視してはい、はいと他の同じ色の忍装束の子達に冷めちゃうよーとお盆を渡した。
「おい、聞いているのか」
「仕事邪魔すんなら皆の夕飯が終わったあとにしろ餓鬼」
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「なっ、何だとお前みたいな年増に言われたくはない」
はいはい、そうですか。
………5年生登場。
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