■ 08話/学園の全生徒集合。

こここんなに、大勢の前に顔を出す事が生きているうちにあるなんて。緊張し過ぎて死ぬ、先生達の前でも緊張したのに。

そんなあたしは現在この学園の生徒全員の前に立っている。

「えー、コホン!今日から住込みで食堂のお姐さんとして働いて下さる山田 花子さんじゃ。」

視線が痛い。

「よろしくお願いします。」

とりあえず、頭を下げた。ザワザワと生徒が声をあげている。な、なんなんだ、とりあえず花房が連れて来たという点で好感度が最低という事は知ってる、知ってるが、悪口なら聞こえるように言ってくれ!怖い、怖いよ、学園長先生。

皆を鎮めるように各クラスの先生方が動いているのが目に取れた。す、とやはり土井先生を見てしまう、あーイケメン、落ちつくわぁ。

そう思ったのもつかの間。

ひっ、目が合ってしまった。ニコッと微笑む土井先生は大丈夫とでも言っているようで逆に顔が爆発した。違う、違う断じて。きっと微笑んだのはあたしの顔が笑えるからだそうだそうだ。と自分で納得していると微かに顔赤くしてるぞ、とか緊張してんのか、とか聞こえてきてもっと恥ずかしくなった。

「皆、特に上級生は警戒しておる様じゃが事情はカクカクシカジカ!それでも信じん者は、自分達で近づき確かめなさい。」

それでこそ忍びの卵じゃ、と口にする。え?と学園長先生の方を向くが笑ってあしらわれた。確かめる、とは…襲われたり武器を向けられたりするのだろうか。やだなぁ。

「ま、これにて解散!」

かるっ、軽くね?ぞろぞろと皆去っていく者もいれば、遠巻きに見ているものもいて水色の装束に至ってはわらわらと周りに集まってきた。

「わっ、わっ、どうしたの?」

口々に質問をしてくる子供たちに慌てふためいているとすみませんという声。

どどどどど土井先生だぁぁぁ!!花子、平常心平常心よ、大丈夫あなたならできる!!

「ああ、どど土井先生」

失敗したぁぁ。

「覚えてくれていましたか!」

何て凄まじい攻撃力の笑顔だ、周りに集まる子達はそんな土井先生にぶうたれている。

「土井先生ずるい!」

私達とも友達になって下さーい、という子供たちに自然と顔が緩んだ。可愛いじゃないか。下にある頭に手を延ばし撫ぜるといーないーなぁと口々に言う子供たち、ああ、子供欲しいなんて今まで一度たりとも考えなかったのにそんな事が一瞬頭をよぎった。可愛い、本当可愛い。

「あ、あの…」

土井先生が言いずらそうに頬を掻いている、…な、なんだろう。いけない事でもしてしまったのか。飴と鞭方式であまり甘やかしてはいけなかったり?と慌てて手を離すといえ!と一言。

「笑った方が…その…良いなと、いえ…ああ!そうです、子供達も喜びますし!」

そ、そうですよねと笑うしかない。

土井先生変なのーと誰かが言い会話が戻る、なかなか最初の一回で名前を覚えるのは大変そうだった。



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し、幸せ過ぎて怖い。

土井先生の為なら面白くなくても笑います、笑いますとも!!ええ!!

(comment*☆.)


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