■ 03話/お喋りな真庭忍。
元の姿に戻った少し先を歩く人は、見た事のある人の姿に声に化けれるのだと。
ふんふんと上機嫌で両手を頭の後ろで組んでいるこの人は忍者なのだとも言う。
真庭…とか言ったか。名前もとても珍しく蝙蝠と言うらしい、風貌も何処となく似ている気がするのだが。
そういえばこの方、ずっとなんだか喋りながら着いて来ます。忍者はこうもお喋りなものなのでしょうか。
道を歩き一刻ほど過ぎましたか、蝙蝠さんの仕事趣味同僚の話を聞いている間に茶屋がまた見えて来ました。あら、座ってる。先ほどまで私の隣に居たのに、そこは流石、忍者と言う事か。
私はさっき寄りましたし、ここでじゃあな!っと爽やかに手を振るつもりだろうか。あり得る、多いにあり得る。何故なら今まで聞いた蝙蝠さんの情報、性格から言って絶対に自由奔放をもっとうに生きているであろうと思わせる点が幾つも見当たるからだ。
私は挨拶をしようと、蝙蝠さんの前で足を止めた。
「あの…」
「お前歩くの遅えなぁ、きゃはきゃは!早く座れよ、お前が遅え所為で俺様疲れたっつーの!まぁ、忍者の癖に疲れるなんて変な話だろうけどな、きゃはきゃは!」
私は手を引っ張られ隣に腰を下ろします。
「ここの茶屋はうめぇって有名でよぉ!あ、すんませーん!!」
紫色の彼が片手を上げ、女の店員さんにつらつら注文し湯気が上がる湯呑みを口にする近づける。団子が届くと、ペロリと舌で口火をなぞり美味しそうに口に運ぶ。あまり、父以外の人と接した事がないからジッと観察してしまう、悪い癖になるだろう。やめなきゃ。
あ、気づかれてしまった。
「食べねぇのか?」
「あ、いえ。」
団子を一串掴み周りをキョロキョロ見回す、男女仲良く食べる方々、一人で食べるお侍さん。いつも一人で見ていた風景が今日は少し違う、一緒に食べる人が居るだけでこうも気持ちが暖かくなるものなのか。そう思い頬が緩んだ。
お友達が出来たら、毎日幸せなのだろうなぁ。
「お前さ、あんまり自分の事を話さねぇのな!ああ、俺が喋り過ぎてんだなぁきっと!」
特徴的な笑い方をする蝙蝠さんは団子をもちゃもちゃ頬張りそう口にする。まぁ、その通りです。
「私の名前は…」
___________
ああ、この人とまた何処かで会えたら。
そう思える方とお友達になりたいんだ、私。
[
prev /
next ]